UV TALK LETTER vol.6(2010) アプリケーション=日射透過率・日射反射率測定 その2=

UV-Application

UV TALK LETTER vo6(2010)
前回のUV Talk Letter Vol.5アプリケーションでは『JIS R3106:板ガラスの透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法』に準じた板ガラス類に関する各種測定法を紹介しました。今回は『JIS A5759:建築窓ガラスフィルム』に準じた建築窓ガラス用フィルムおよび『JIS K5602:塗膜の日射反射率の求め方』に準じた塗膜に関する測定法を紹介します。

1.JIS A5759に準じた建築窓ガラス用フィルムの光学的な性能評価

JIS A5759では,建築物の窓,出入口などのガラスに用いる建築窓ガラス用フィルムについて,可視光線透過率は87 %以下,熱貫流率は5.9 W/m2K以下,紫外線透過率は3 %以下であることが規定されています。遮へい係数に関しては表1の性能に適合していなければなりません。表2にそれぞれの項目の説明および計算式を示します。
JIS A5759の光学性能の評価項目として,可視光線透過率,遮へい係数,熱貫流率および紫外線透過率の4項目があります。ただし,遮へい係数を求めるには,日射透過率,日射反射率,垂直放射率のほか,垂直反射率から換算した室内側および室外側表面の修正放射率も必要です。また,垂直放射率から換算した修正放射率の室内側表面の値および室外側表面の値は,熱貫流率の算出にも必要です。

表1 日射調整フィルムの遮へい係数

遮へい係数 記号
0.40未満 A
0.40以上0.60未満 B
0.60以上0.85未満 C

 

特性値 分析装置 説明 計算式
可視光線透過率
  tv
装置1 波長範囲380~780 nmの分光透過率t(l)を測定し,重価係数(Dl・V(l)・D l)を乗じて加重平均する式(1)で得られる。
Dl:CIE昼光D65の分光分布
V(l):CIE明順応標準比視感度
D l:波長間隔
遮へい係数
  S
装置1
装置2
日射の遮断性能を表す指標。フィルムを貼り付けた厚さ3 mmの板ガラスに入射した日射が,一度吸収された後に入射面の反対側に再放出する分も含んで通過する率を,板ガラスだけの場合の率を1として表した係数。
式(2),(3)より計算される。
te:日射透過率 re:日射反射率
ee:修正放射率 室外側表面(ガラス面)
ei:修正放射率 室内側表面(フィルム面)
teo:厚さ3mmの板ガラスの日射透過率
reo:厚さ3mmの板ガラスの日射反射率
日射透過率
  te
装置1 波長範囲300~2500 nmの分光透過率t(l)を測定し,重価係数(El・Dl)を乗じて加重平均する式(4)で得られる。
El:日射の相対分光分布
D l:波長間隔
日射反射率
  re
装置1 波長範囲300〜2500nmの分光反射率r(l)を測定し,重価係数(El・Dl)を乗じて加重平均する式(5)で得られる。
El:日射の相対分光分布
D l:波長間隔
垂直放射率 装置2 赤外分光光度計で正反射測定により分光反射率rn(l)を測定し,計算式より算出した値。
詳細はJIS R3106をご参照下さい。
修正放射率
ee:室外側表面(ガラス面)
ei:室外側表面(フィルム面)
装置2 垂直放射率をJIS A5759に記載されている係数で補正した値。 詳細はJIS A5759をご参照下さい。
熱貫流率
  U【W/m2K】
装置2 断熱性能を表し,フィルムを貼り付けた厚さ3 mmの板ガラスについて,その両側の空気温度差が1℃のとき,面積1m2当たりの単位時間に通過する熱量を示した値。
ee:修正放射率 室外側表面(ガラス面)
ei:修正放射率 室内側表面(フィルム面)
紫外線透過率
  tUV
装置1 波長範囲300~380 nmの分光透過率t(l)を測定し,重価係数(Ul・Dl)を乗じて加重平均する式(6)で得られる。
Ul:紫外線の相対分光分布
D l:波長間隔
注1)装置1は紫外可視近赤外分光光度計,装置2はフーリエ変換赤外分光光度計です。各重価係数はJIS A5759に明記されています。

 

2.各種フィルムの測定例

分光透過率は厚さ3 mmの板ガラスの片面にフィルムを貼り付けた状態で透過測定することで得られます。今回は板ガラスに貼り付けた4種類のフィルムに対して可視光線透過率,紫外線透過率,日射透過率,日射反射率および遮へい係数を求めました。測定は表3に示した条件で紫外可視近赤外分光光度計と積分球付属装置を用い,ガラス面側より光を入射させて行いました。得られた紫外可視近赤外領域の透過スペクトルを図1に,反射スペクトルを図2に示します。遮へい係数を算出するにはフーリエ変換赤外分光光度計で測定したデータを使用しましたが,ここでは測定方法や条件等の表示は割愛します。
各性能評価項目の算出に関しては,『日射透過率測定ソフトウエア』を用いました。本ソフトウエアはJIS R3106に沿った板ガラスの可視光線透過率,紫外線透過率,日射透過率および日射反射率の計算に対応しています。今回のJIS A5759に記載された計算に関しては「ユーザー定義モード」で重価係数を入力することで算出しました。『日射透過率測定ソフトウエア』の計算項目の設定画面例を図3に,可視光線透過率,紫外線透過率,日射透過率のそれぞれの算出結果例を図4に示します。

表3 フィルムを貼り付けた板ガラスの測定条件

測定装置 ISR-3100 紫外可視近赤外分光光度計UV-3600,積分球付属装置ISR-3100
測定波長範囲 300 nm~2500 nm
スキャンスピード 中速
サンプリングピッチ 2.0 nm
スリット幅 (20)nm
光源切替波長 310 nm
グレーティング切替波長 720 nm
検出器切替波長 830 nm
図3 日射透過率測定ソフトウエアの計算項目の設定画面
図3 日射透過率測定ソフトウエアの計算項目の設定画面
図4 各フィルムの算出結果例


各試料の計算結果を表4に示します。フィルム1に関しては日射透過率が高い値を示しています。フィルム2,3に関しては紫外線をほとんど通さず,フィルム4は可視光線及び紫外線を一番良く通し,遮へい係数が最も高い値を示しています。

表4 各フィルムの計算結果

フィルム 可視光線透過率
τv [%]
紫外線透過率
τuv [%]
日射透過率
τe [%]
日射反射率
ρe [%]
遮へい係数
S
1 76.51 0.71 56.45 25.65 0.68
2 69.59 0.01 46.92 33.03 0.60
3 70.80 0.01 41.35 21.58 0.60
4 76.67 3.28 54.72 21.10 0.70
基板ガラス 90.25 74.81 86.67 4.87  

3.JIS K5602に準じた塗膜の日射反射率の求め方

JIS K5602に準じた塗膜の日射反射率測定に関しては,積分球付属装置を用い,波長範囲300~2500 nmにおいて,15°を超えない入射角で試料に光を照射します。公的機関により校正された標準白板の分光反射率を100 %として,試料の各波長における分光反射率を求めます。日射反射率は,基準太陽の分光反射照度分布を反映した重価係数を乗じ,加重平均する式(7)より得られます。その際3波長領域(近紫外可視領域300~780 nm,近赤外領域780~2500 nm,全波長領域300~2500 nm)それぞれにおいて日射反射率を求めます。

 
re:日射反射率
r(l):分光反射率(%)
El×Dl:基準太陽光の重価係数(W/m2)
l:波長(nm)
       

4.各種塗膜の測定例

図5 試料を積分球付属装置に設置した様子
図5 試料を積分球付属装置に設置した様子

隠ぺい率試験紙に塗装した3種類の塗膜(塗膜1,2,3)に対して分光反射率を測定しました。紫外可視近赤外分光光度計UV-3600および積分球ISR-3100を用い表5に示した条件で測定しました。試料は図5のように積分球に設置しました。測定結果を図6に示します。塗膜1は他の2つよりも全波長領領域で,反射率が低いことがわかります。また,塗膜2は1200 nm以上の近赤外領域では塗膜3と同程度の反射率を示していますが,1200 nm以下の近赤外から可視領域では,塗膜3よりも反射率が低くなっています。全波長領域において塗膜3が最も高い反射率を示していることがわかります。

次に測定した分光反射率と式(7)を用いて各塗膜の日射反射率を求めました。表6に各波長領域での日射反射率を示します。計算にはJIS K5602に沿った塗膜の日射反射率計算用に作成したソフトウエア『塗膜の日射反射率計算エクセルマクロ』を用いました。これは測定した分光反射率データを読み込むことにより,Excel注2)上で各波長領域での日射反射率を自動計算するとともに,分光反射率スペクトルを表示するマクロプログラムです。
注2) ExcelはMicrosoft社の登録商標または商標です。

表5 塗膜の測定条件

測定装置 紫外可視近赤外分光光度計UV-3600 積分球付属装置ISR-3100
入射角
測定波長範囲 300 nm~2500 nm
スキャンスピード 中速
サンプリングピッチ 0.5 nm
スリット幅 (20)nm
光源切替波長 290 nm
グレーティング切替波長 720 nm
検出器切替波長 870 nm
図6 塗膜の分光反射率測定結果
図6 塗膜の分光反射率測定結果

表6 各塗料の日射反射率計算結果

試料 近紫外可視領域
300~780 nm
近赤外領域
780~2500 nm
全波長領域
300~2500 nm
塗膜1 7.72 % 74.67 % 36.78 %
塗膜2 37.51 % 81.80 % 56.48 %
塗膜3 89.07 % 87.13 % 88.12 %


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