水道水/飲料水の分析
私たちが使用する水道水や飲料水は、河川などの地表水が水源となりくみ上げられた水が浄水されていることが多いです。そのため、水源が汚染されていた場合、水道水や飲料水も汚染される可能性があるため、厚生労働省では水質管理目標設定項目として水質検査を定めています。
PFOA、PFOSについては、国内では、水道水あるいは公共用水、地下水において、PFOA、PFOSの合計値として0.00005 mg/L (暫定値)と定められています。他の化合物種と比べても、低濃度域での分析が求められています。その他、国外の公定法においては、さらに低濃度域を基準としている場合もあり、PFAS分析には非常に高感度の分析機器が求められます。
厚生労働省 水質管理目標設定項目に係る
標準的な検査方法対応
水道水中のPFOA、PFHxS、PFOSの分析
ペルフルオロオクタン酸(PFOA)、ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)は有機フッ素化合物の一種で、化学的に安定であり、体内への残存による健康被害が懸念されています。日本国内の水道水では、水質管理目標設定項目にPFOAおよびPFOS、要検討項目にPFHxSが定められています。今回は、水質管理目標設定項目の検査方法(目標31)に基づき、全自動固相抽出装置(AquaTrace ASPE898、ジーエルサイエンス株式会社)を用いて前処理を行った水道水試料を液体クロマトグラフ質量分析計LCMS-8050RXで分析した結果をご紹介します。
各成分の検量線
PFOA、PFHxS、PFOSについて0.2~20µg/L(7点)の濃度範囲における内部標準法による検量線を示しました。
各検量線の寄与率(r2)は、3成分ともにr2>0.999となり、 各検量線において良好な直線性が確認できました。
水道水への添加回収試験
水道水を用いて添加回収試験を行いました。
採水した水道水にPFOA、PFHxS、PFOSの濃度が1ng/Lまたは5ng/Lになるよう添加した水道水添加試料をそれぞれ調製し、前処理を行いました(1000倍濃縮)。
水道水に1ng/Lを添加した場合、添加回収率はPFOA:82%、PFHxS:103%、PFOS:99% となりました。また、併行精度(濃度%RSD)はPFOA: 2.5%、PFHxS:2.3%、PFOS:3.5%となりました。
添加回収率、併行精度いずれも良好な結果となり、水道水試料においても精度よく分析できることを確認しました。
アプリケーションニュース「トリプル四重極LC/MS/MSを用いた水道水中PFOA、PFHxS、PFOSの高精度分析」は
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