MS50周年記念特設サイト - ユーザーインタビュー
2020年7月号

島津MS製品のユーザー様の声を集めました。世界中の皆様からのメッセージをインタビュー形式でご紹介いたします。

Guenter ALLMAIER, PhD

Guenter Allmaier PhD., Full professor of Analytical Chemistry
Institute of Chemical Technologies and Analytics, Vienna University of Technology (TU Wien), Vienna, Austria

主な研究分野
バイオ・ポリマー分析を中心とした分析化学・装置研究

1. 島津製作所をお知りになったきっかけを教えてください。

K. Biemann教授とG. Khorana教授の研究室 (マサチューセッツ工科大学) で博士研究員をしていた時,初めて日本製の磁場セクター型質量分析計を扱いました。その後,私はウィーン大学分析化学研究所の助教になり,自分の将来の研究について考えていました。私は修士論文の執筆中にKratos社のMS-50磁場型質量分析計に取り付けた自家製のレーザー脱離イオンソース(以下LDIという)に出会っていました(F. Heresch et al., Anal. Chem. 52, 1803 (1980).)。この時の出会いと思い描く将来を考えあわせて,私は研究テーマを生体分子のLDI飛行時間型質量分析といった新たな分野にシフトすることに決めました(当時,MALDIはまだ紹介されていなかったのです)。島津は1980年代後半にLAMS-50KというLDIリフレクトロン型質量分析計を発売し,その設計デザインに深く興味を持ちました。当時,オーストリアの島津代理店に連絡しましたが,残念ながらその装置はヨーロッパでは販売されていませんでした。

2. ご自身の研究分野をご紹介ください。また,どういった用途で島津製作所の分析装置をご使用いただいていますか?

私の主な研究分野は,MALDIとESIを中心とした質量分析,示差移動度質量分析,そして生体分子や高機能ポリマーとナノ粒子(例:リポソーム,インタクトなウイルス)に応用するキャピラリー/二次元電気泳動法です。プロテオミクス,リピドミクスおよびイメージングMSの研究では,我々はCHIP-1000ケミカルインクジェットプリンタを様々なMALDI MSの試料調製方法に使用しています。この2年間の研究においては,構造解析には島津のMALDI-7090やAXIMA TOF2の高エネルギーCID MS/MSモードを使用し,タンパク質の分子量測定にはCovalX高質量MALDI検出器付きのAXIMA-CFRを使用しています。また,アミノ酸分析,メタボロームやバイオプロセスの研究ではLCMS-8060を使用しています。

3. 島津製作所の装置を採用いただいている理由をお聞かせください。

ウィーン大学にある私の小さなラボは,1990年代初期に卓上型のKompact MALDI IVから始まり,その後,AXIMA-CFRへと移行しました。AXIMA-CFRはまさに信頼できる装置で,私たちのラボの主力機種となりました。マンチェスターにある島津Kratos社との優れた共同研究および島津オーストリアや島津ヨーロッパからの多大な支援もあり,例えばウィーン大学からウィーン工科大学 (TU Wien) へ移転した際も,島津装置を使い続けられるようにと常に考えていました。島津の質量分析装置およびクロマトグラフ装置の堅牢性と長期安定性は,競争力のある価格と相まって,国際競争力のある研究とグローバルに通用するウィーン工科大学の生物分析ラボにおいてしばしば選択される装置となっています。

4. ご自身の研究分野における,質量分析技術の動向やトレンドについて教えてください。

標準モードでさらなる高速性能とさらに高い分解能を持ち,そしてさらに信頼性の高い質量分析計が求められるようになっています。また,装置の小型化,強力なデータ処理能力・解析能力も重要な課題と考えています。生物医学や材料科学分野では,イメージングMSの重要性がますます大きくなっています。さらに,質量分析と組み合わせる分離技術 (例:ナノRP-HPLCまたはCZE) は指数関数的に成長しており,研究や科学の発展に必須なものです。

5. 島津製作所や質量分析技術の発展に関して,どのようなことを期待いただいているでしょうか。

質量分析が指数関数的に成長するために最も重要な部分となるであろうレーザー脱離イオン化技術の分野では,より少ない化合物から既存技術よりも多くのイオンを生成することを可能にする新技術の絶え間ない探索が見られます。ガス分子,UV光子,低速電子,電子伝達反応などの異なる手段による異なるエネルギー領域での多段MSフラグメンテーションにも期待します。1つの装置に使用する材料が少なくても,より多くの構造情報を収集することができるでしょう。また,超高分解能の多段MSにも期待します。プリ―カーサイオンと同様に全フラグメントイオンの元素組成の測定を可能なものになるでしょう。

Guenter ALLMAIER, PhD

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