MS50周年記念特設サイト - ユーザーインタビュー 2020年1月号

島津MS製品のユーザー様の声を集めました。世界中の皆様からのメッセージをインタビュー形式でご紹介いたします。

Wang Guanghui(王光輝), Professor

Wang Guanghui(王光輝), Professor
National Centre for Mass Spectrometry,
Institute of Chemistry Chinese Academy of Sciences

主な研究分野
分子構造解析,イオン-分子反応など

1. 島津製作所のことをお知りになったきっかけを教えてください。

20数年前のことですが,当時,島津は日刊工業新聞機械工業デザイン賞を受賞した最新のGCMS-QP5000を我々の実験室(中国科学院化学研究所質量分析センター)に設置して,島津GCMSユーザーに対するマンツーマン実機トレーニングを行いました。トレーニング以外の時間に,私たちもその装置を使って研究を進めることができました。それが島津との最初の出会いでした。

2. ご自身の研究分野をご紹介してください。また,どういった用途で島津製作所の分析装置をご使用いただいていますか?

GC-MS,LC-MSは主に複雑な混合物の定性分析に使用しています。スペクトルデータベースを使って検索するだけではなく,データベースに収録されていない未知成分に対しても構造解析を行うことができます。このような研究は環境保護や医薬品研究など様々な分野に関連しています。現在,中国における未知成分の構造分析技術はまだ未熟ですが,大きなポテンシャルを秘めています。例えば,ビッグデータやAIの活用,官能基や分子構造解析への質量分析技術の開発などが挙げられます。しかし,現段階ではこれらの分野の研究はあまり注目されていません。

3. 島津製作所の装置をご採用いただいている理由をお聞かせください。

GCMS-QP5000が我々の研究室で稼動して以来,島津には様々なサポートをしていただきました。。このような協力関係は,非常に良好な効果をもたらしており,協力関係は長年継続しています。我々は島津の装置について色々と知っておりますので,実験室ではその後2台のGCMS-QP2010および1台のLCMS-2010Aを導入しました。これらの装置は10年以上に渡って今も安定的に稼働しています。現在,中国科学院はLCMS-9030を含む5台のLC/MSおよび7台のGC/MS,1台のMALDI-TOFを保有しており,様々な実験室で活用されています。

4. ご自身の研究分野における,質量分析技術の動向やトレンドについて教えてください。

未知成分の構造分析において,精密質量測定(高分解能)は重要な役割を果たしています。現在,このようなニーズに対応できる装置は,フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計やオービトラップ質量分析計です。しかし,これらの装置はコストが高いため,広く普及していません。低コストの新型静電場イオントラップは質量分析計の重要な研究方向の一つであり,フーリエ変換技術を使って高分解能を達成し,精密な質量測定を実現することができます。

5. 島津製作所や質量分析技術の発展に関して,どのようなことを期待いただいているでしょうか。

今後,島津には低コストで耐久性に優れる静電場イオントラップGC-MSを開発することを期待しています。分解能は20,000以上で,質量測定精度は2 ppmであり,頻繁にキャリブレーションする必要のない装置が理想的です。

LCMS-9030の除幕式にて(右:王光輝教授)

LCMS-9030の除幕式にて(右:王光輝教授)