SHIMADZU LC Online Session 2020 質疑応答

たくさんのご質問をいただきありがとうございます。
ライブで回答させていただきました質問を含め,いただいたすべての質問に回答を作成しております。

 

ラボ滞在時間を最小化
~NexeraシリーズのAnalytical Intelligence機能によるルーチン業務の自動化,リモート化~

Q 自動立ち上げは,LCに限らずGCでの展開はありますでしょうか?
A GCもすでに自動スタートアップに対応しています。

Q 移動相モニター使用時にボトルは専用のものを使うことになりますか?
A 専用のものをご準備いただく必要はございません。一般的な1Lボトルが使用可能です。それ以上の大容量のものに関しても,一般的な3Lや5Lのボトルが使用可能です(ボトルホルダーは専用のものが必要になります)。

Q i-PDeA IIはAnalytical Intelligenceに含まれる機能ですか? i-PDeA IIのみの機能はありますか?
A Analytical Intelligence と弊社が呼んでいる機能に含まれます。ただし,特別に何か装置の購入が必要というわけではなく,LabSolutions Ver. 5.90,LabSolutionsデータベース版 Ver. 6.80,及びCS版 Ver. 6.81 以降をお使いであればご使用いただけます。PDA検出器で測定したデータに限ります。

Q スマートデバイスは専用の端末ですか?またこれらはIoTということでしょうか?
A いいえ。専用のソフトウェアを入れていただければ,様々な端末で使用できます。移動相モニターはIoTではありませんが,IoTであるLabTotal Smart Service Netと連携は行っており移動相残量の記録が保管されます。

Q 自動でスタートアップをする場合,PCとLC装置すべての電源をつけていないといけないのでしょうか?
A 装置については電源OFF(待機状態)にすることができます。LabSolutions(PC)からスタートアップの設定をした場合,PCはONのままにしておく必要がありますが装置本体のタッチパネルから設定した場合,PCをOFFにすることも可能です。

Q 自己診断・自己復帰機能で動作するのは,気泡発生の時のみでしょうか?
A はい、そうです。気泡がポンプ内に混入すると圧力低下が生じ、その後、異常な圧力変動が継続します。自己診断機能では、このときの圧力変動値が基準値と異なることを検知して、異常が発生していると認識して、自己復帰機能を開始します。

Q 夜間(終夜)運転時のトラブルを自己診断・自己復帰するとのことですが,その際はスマートデバイスやその他の管理者のデバイスに通知はあるのでしょうか。また,Webブラウザでもそのトラブルは確認できますか?
A LabSolutions にて予め設定いただくことで,ポンプの脈動を検知したという通知がスマートデバイスにメールで送信されます。

Q Analytical Intelligenceは今稼働している装置にソフト導入により使用することはできないでしょうか?
A 機能ごとの可否を以下に回答いたします。
・自動スタートアップ,シャットダウン:不可
・FlowPilot:不可
・移動相モニター:不可
・自己診断,自己復帰:不可
・LabTotal Smart Service Net:一部可
・i-PDeA II:可

Q 異常発生時の自己診断・自己復帰に関して,バッチの4本目に気泡が入り異常検知された場合の復帰後,異常が起きた4本目から分析しなおしてくれるのか?異常が起こった時のスペクトルデータは残されるのか?
A 異常が起こったときのスペクトルデータは残されます。設定にもよりますが,気泡を抜くためのオートパージを実行後,4行目の分析を行います。

Q 流路の詰まりなどでの圧力上昇でも動作(復帰)するのでしょうか?
A 流路の詰まりには対応しておりません。

Q 装置の自動立ち上げなどは,Webブラウザやスマートデバイスからでも設定できますか?また,LC装置がシャットダウンの状態でも外部からこれらの設定は可能でしょうか。
A PCで予めバッチファイルやメソッドを設定しておけば,LabSolutions Directを用いることでスマートデバイスからの起動~分析が可能です。
LC装置の電源スイッチがOFFの状態でなければ,外部からの設定が可能です。

Q Analytical Inteligence機能はLabSolutionsのみで使用可能ですか?他社のソフトで装置をコントロールする場合は使用可能ですか?
A LabSolutionsのみの機能です。

Q 移動相5Lを使用する場合,専用のボトルホルダーに付け替える必要がありますか?
A 移動相モニター用のボトルホルダーを,大容量対応の専用のものに変更いただく必要がございます。

Q これらの自動立ち上げや自己復帰等の自動で実施した動作は後に確認できますか?(カラムの圧力や温度などのログ)
A 一連のログが残ります。自己復帰時には状態異常時のデータ・安定待ち(空打ち)のデータも残りますので,データから圧力,温度も確認可能です。

Q 移動相ホルダー(移動相残量モニター?)を5L用にできますか?1Lサイズしかないと,聞いたことがあります
A 大容量対応のホルダーが発売となっております。こちらをお使いいただくことで,5Lビンに対応可能です。

Q 脱気方法は,パージ以外の機能はありますか?
A オンライン脱気装置(気-液分離膜方式)があります。ポンプ下流に設置していただくことで,移動相を脱気しながらインジェクタへ送液できます。

Q Analytical Intelligenceの機能を使用するにあたって,追加で必要なものはあるのでしょうか。
A Analytical Intelligence機能を使用するには,新Nexeraシリーズの各装置,およびシステムコントローラが必要です。機能を使用する目的での特別な装置や部品はございません。

Q 異常でパージしなおし,洗浄した場合,最後のサンプルを分析できる移動相が足りなければ自動で分析は止まりますか?
A 移動相モニターを設置すれば止まります。
移動相残量のモニタリングを行いますので,パージ・洗浄後のバッチ分析(連続分析)再開時に移動相量が不足していれば分析が止まります。

Q i-PDeAⅡで行えるクロマトグラムの解析はどこまで可能ですか?
A まず検出器はPDA検出器が前提となります。
機能上,範囲指定は測定範囲全てを設定できますが,できる限り狭めた方が正確なデコンボリューションが可能となります。
評価は三成分系で行い,面積比100:1 程度であれば分離ができることを確認しています。ただし,ピーク強度がかなり小さい(例0.X mAU),ピークがぴったり重なっている等はi-PDeAIIでも再分離できない可能性が高いです。

Q i-PDeAⅡについて質問です。フォトダイオードアレイ検出器以外の検出器を接続していたときには,例示された「ピークの再分離」はどうなりますか?
また,LabSolutionsの機能の一つとのことですが,バージョンの古い機種にも搭載されていますか?

A i-PDeAⅡはフォトダイオードアレイ検出器専用の機能でして,他の検出器には対応していません。
ファイル管理版Ver. 5.90,データベース版Ver. 6.80,及びCS版Ver. 6.81 以降のLabSolutions をお使いであればご使用できます。

Q 自動スタートアップはポンプが移動相に置換されている状態でしか使えないということで良いですか?
A 配管内が溶液で満たされていれば,自動スタートアップ時に送液ポンプのパージを実行し置換できます。そのため,自動スタートアップはお使いいただけます。
一方で,移動相同士のコンタミを防ぐためには,移動相交換時に一度パージすることを推奨します。
また,配管内が溶液で満たされていない場合,送液が正しく行えないので事前に手動でのパージが必要です。

Q オーブン温度が30度で分析したいとき,真夏など暑い時期は夜中に温度が保持できず分析できていないのですが良い方法はありますか。冷房は切って帰りたいので。
A 空調ファンコントロール機能が付いています。この設定を「高速」にしていただくと室温変動の影響を抑えることができますのでまずはこちらをお試しください。こちらで温度が維持できない場合には,クーラー付きモデル(CTO-40C, もしくはCTO-40S)の導入を推奨いたします。クーラー付きモデルでしたら,室温-10℃まで対応します。

初めてLCを学ぶ方へ:HPLCに関する5W1H

Q 夾雑成分がほぼ保持されない位置に出てきやすい為適度な保持が必要とのことですが,夾雑成分が出ず,再現性等に問題が無いようであれば,ほぼ保持されていないピークを用いての定量は可能なのでしょうか。
A 定量精度や確度に問題がないことを確認済みの場合は可能です。ブランクを注入の上,t0付近のベースライン変動の有無もご確認頂ければなお一層安心です。

Q オートサンプラーの値段はいくらくらいですか。
A モデルにより異なりますが定価で150~250万円程度です。

 

分析業務の遠隔化ソリューションのご紹介

Q LabSolutions CSは島津社製の製品にしか適用できませんか。
A LC/GCについてはAgilent社,Thermo Fischer社の製品も制御が可能です。その他の装置についてはセッションでご紹介したマルチデータ登録機能を使用してデータ登録を行うことができます。

Q 他社製品との一番大きな違い,メリットを教えてください
A クロマト製品だけではなくスペクトロ製品など多機種の装置を制御できる点がメリットです。ご紹介したレポートセット機能やマルチデータレポート機能など,データインテグリティへの対応や業務の効率化をサポートする独自の機能を多く搭載しているところが強みです。

Q LabSolutionsについては,サーバー管理者が必要になりますか?
A LabSolutions CSのようなネットワーク製品についてはサーバー管理者を設定していただく必要があります。

Q LabSolutions CSの費用はおいくらですか。
A 接続装置数やユーザー数により導入費用は変動しますが,基本的に数百万円~のご提案となります。

Q LabSolutions CSについて,GC/MSやMALDI等の分析機器は対象となりませんか?
A GC/MSやMALDIについてはマルチデータ登録でのデータ登録対応になります。

Q 弊社では以前からLabSolutionsを利用して分析を行ってるのですが,今回紹介された機能は新しく追加された機能ですか?それともLabSolutionsにはもともと付属されていた機能ですか?
A LabSolutionsに搭載済の機能はバージョンにより異なっており,本日ご紹介したものは最新バージョン(6.90)に搭載済の機能です。機能追加の履歴は製品に付属のReadmeでご確認いただくか,営業担当にお問い合わせください。

Q LabSolutions CSはOracleなどのデータベース上で動作しているように思えますがいかがでしょうか?
A 本日ご紹介したLabSolutions CSの最新版ではSQL Serverというデータベースを使用しております。

Q クライアントPCの画面で表示されるデータが正常なものかどうかをバリデーションする必要はあるか?
A クライアントPCに表示されるデータはサーバーで管理されているものであり,バリデーションの必要はありません。

 

HPLC分析をはじめよう ~分析操作の実際~

Q 試薬グレードについて。特級とHPLCグレードの比較で,アセトニトリルは吸光度に差があるとのことでしたが,メタノールは差がないように見受けられました。メタノールは特級を使っても差し支えないということでしょうか?
A 測定対象,カラムによっては差し支えありませんが,基本的にはHPLCグレードの使用をお奨めします。
Webで各試薬メーカーの製品規格書をご覧いただくと分かりやすいのですが,セッションでご紹介した低波長での吸光度以外にも蛍光物質や酸などの他夾雑成分についても検査を行い,品質を保証しています。これら不純物は,測定とは別にカラムにも影響を及ぼすこともあります。
HPLCグレード以外のものについては特に,ご希望の分析に影響がないことをよくご確認の上ご使用ください。

Q 御社の検出器ではありませんが,検出器起動時に「セル内に気泡がある」旨のエラーメッセージが出ることがあります。ちなみに検出器起動タイミングは本体とほぼ同時です。先に本体を起動させ,溶液をしばらく流してから検出器を起動させたほうがよろしいでしょうか?
A 前回の分析後,しばらく時間がたつと流路内に気泡が発生する場合があります。この現象は検出器に関わらず流路全体で起こります。
起動時のエラーを回避するためには,おっしゃるとおり,先に移動相を送液し,気泡を追い出した状態で起動することををおすすめいたします。

Q 空気を入れないようにするため,カラム接続時は溶液を流しながらカラム入り口に液をためた状態で接続する,と学生時代に教わりました。映像を見る限り,そのまま接続されているように見受けられましたが,空気の影響は考えられないでしょうか?
A 溶液を流しながら接続する方法も一般的と存じますが,今回は送液を十分にしたうえで一旦止めて接続しています。接続部品がきちんと正しく接続されていれば,設計上デッドボリュームが生じることはありません。使用する移動相によっては,劇物であったり接続部品外側の錆に繋がるものもありますので,不用意に溢れさせないよう注意が必要です。
いずれの方法につきましても,デッドボリュームを生じさせないよう注意を払っていただければと思います。

 

トラブル回避!LC分析を成功させる消耗品選択

Q GLC Suction Filter 2はどの位の期間使用できますか?交換頻度はどれくらいですか?
*複数の方から同様の質問を頂いております

A 通常の使用では,通液量60Lもしくは1年を目安に交換してください。一般的なサクションフィルタに比べて交換頻度が高いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが,セミナー中にもご説明したように一旦ゴーストピークが発生すると原因究明や再解析に多大な労力やコストがかかってしまいます。安心してLC分析を実施して頂くために,転ばぬ先の杖として,GLC Suction Filter 2を定期的に交換してご使用頂ければと思います。

Q GLC Suction Filter 2の価格を教えて下さい。
*複数の方から同様の質問を頂いております

A 定価は1個入\13,000,10個入\99,000です。一般的なサクションフィルタと比べると高いと思われるかもしれませんが,優れた移動相クリーナー機能をもつサクションフィルタとして,ゴーストピークが発生した場合の労力・コストを鑑みて,価格を判断頂ければと思います。価格詳細は販売店にご確認下さい。

Q GLC Suction Filter 2は通常のサクションフィルタと同等の操作性とのことですが,吸引抵抗,圧力,目詰まりも同等でしょうか?
*複数の方から同様の質問を頂いております

A GLC Suction Filter 2 のフィルタは通常のサクションフィルタによりも孔径が小さく物理的除去効果が高く,圧損が低い物を開発し採用しました。通常のサクションフィルタと基本的に操作性は変わりませんが,物理的除去効果が高い分,若干目詰まりの可能性は高くなります(ただし,通常のサクションフィルタでは,除去されない汚れ・析出等が装置内に蓄積されやすくなります)。

Q GLC Suction Fliter 2は溶媒系の移動相でも対応できますか?pHなどの適用範囲がありましたら教えてください。順相系溶媒で使用した場合はどうなりますか?
*複数の方から同様の質問を頂いております

A アセトニトリルやメタノールなど,一般的に逆相で使用される有機溶媒で使用頂けます。ただし,THFなどの樹脂パーツを膨潤させる溶媒の使用は想定していません。pH範囲に特に制限はありませんので,使用する装置やカラムに適したpH範囲でご使用下さい。
また,逆相条件を想定しているため,順相条件での効果は検討していません。

Q GLC Suction Filter 2は超音波などで洗浄可能ですか?推奨する洗浄方法があれば教えて下さい。
*複数の方から同様の質問を頂いております

A フィルタ部分の洗浄に関して,超音波も一定の効果があるとは考えられますが,基本的には取説に記載の通り,水と有機溶媒(アセトニトリルなど)を通液して洗浄することを推奨しています。ただし,活性炭部分が使用上限に達した場合,洗浄しても,活性炭の効果を復元するのは難しく,それ以降は通常のサクションフィルタとしての機能のみとなります。使用上限に達した場合は交換を推奨しています。

Q ガラスバイアルは再利用できますか?洗浄や再利用に対する注意点があれば教えて下さい。
*複数の方から同様の質問を頂いております

A ガラスバイアルは十分に洗浄するのが難しいだけでなく,洗浄時に傷ができたり,洗浄液が残存してしまったりすることでコンタミを引き起こす可能性もあるため,基本的に再利用は推奨しておりません。

Q 同様のサクションフィルタの無印のもの(GLC Suction Filter)を検討しましたが,気泡がかなり発生しました。2の場合は無印よりも気泡の発生が少なく済むなど見込めますか?
A GLC Suction Filter 2 では口金部の内部構造を改善し通液抵抗を小さくし,パージの際のエア噛みを減らしていますので,気泡の発生は大幅に少なくなると考えられます。

Q GLC Suction Fliter 2について,移動相が異なる測定に於いて使い回すことは可能ですか? 或いは,移動相の種類毎にフィルタを用意する必要がありますか?
A 適切に置換を行って頂ければ異なる移動相で使用可能です。詳細は取扱い説明書をご参照下さい。

Q GLC Suction Filter 2は他社LCでも使用可能ですか?
A 島津製LCのチューブ外径(外径3.0mm)を基準に作られています。外径1/8インチ(3.17mm)のチューブを使用しているメーカーもありますが,外径1/8のチューブには適していません。

Q GLC Suction Filter 2についてですが,現在,弊社ではイオンペア試薬を移動相で使用するときに,ゴーストトラップDSを使用しているのですが,同等の効果を得られるのでしょうか?
A イオンペア試薬は活性炭に保持され保持時間やピーク形状に影響する可能性があるため,基本的にはゴーストトラップDSもGLC Suction Filter 2も使用は推奨しておりませんが,ゴーストトラップDSで良好な結果が得られているということですので,GLC Suction Filter 2でもうまくいく可能性はあります。ゴーストトラップDSとGLC Suction Filter 2では使用している活性炭が異なる点や,ゴーストトラップDSからGLC Suction Filter 2に変更した場合,システムボリュームが変わって*分離に影響する可能性がある点についてはご留意ください。
*GLC Suction Filter 2は保持時間等に影響するシステムボリュームに含まれませんので,ゴーストトラップDS分のシステムボリュームが減ります。Isocratic条件の場合は保持時間には影響ありません。

Q LCの内容から外れてしまいますが,GCバイアルでも吸着は起こるのでしょうか?
A GCの場合一般的にサンプル溶媒として有機溶媒を使用するため疎水吸着は抑えられます。アミン類の分析や農薬分析の際(注入口インサート原因でテーリングしやすい化合物)にはガラスバイアルへのイオン性吸着への配慮が必要ですが,多くのGC(/MS)分析では吸着はあまり気にする必要はありません。バイアル選択においては,セプタムのブリードへの配慮が必要です。

Q Dewettingが起こる水混合比はどれくらいでしょうか?水95%程度?
A カラムによって異なります。例えば同じODSでも,一般的に,細孔径が小さく,官能基密度・疎水性が高いカラムではDewettingが起こりやすいです。そのようなカラムでは水90%程度でも多少のDewettingの可能性はありますが,一般的には水95%程度以上の場合に注意する必要があります。Dewettingが起こりにくいカラムとしては,上記したような仕様を極性化合物分析用に最適化し,極性化合物の保持が強いカラム(例:Shim-pack GIST C18-AQ)などがあります。

Q Shim-pack Arata C18カラムについて,使用に適さない試料や移動相条件はありますか?
A 推奨使用pH範囲がpH 2-7.5となりますので,塩基性移動相条件は適しておりません。また,塩基性化合物(もしくはペプチド)のピーク形状は良好になりますが,保持は若干弱くなりますので,一般的なODSカラムで保持が厳しいような極性塩基性化合物(もしくはペプチド)はt0付近に溶出してしまう可能性があるため,ご留意ください。

Q バイアルについて,吸着ではなく逆にバイアルからの溶出などは何か注意する点はありますか?
A セミナー時にもお話ししましたが,一般的なガラスバイアルでは常に金属イオンがサンプル中に放出されており,pHにも影響を及ぼしていますので,pHの上昇により影響を受けるサンプルの場合は,TORAST-H Glassバイアルの使用をご検討下さい。また,バイアルによっては製造工程や梱包由来のコンタミによりゴーストピークが出現する可能性もあります。TORAST-H Glassバイアルではバイアル1本毎の個別洗浄を実施しているため,まとめて洗浄した際の汚染のリスクや,高温処理での微粒子が残るリスクも低く,また医療グレードの梱包資材を採用することで梱包由来の有機物の付着や有機相形成を最小限に抑えています。
樹脂製バイアルによっては,サンプル溶解溶媒としてメタノールやアセトニトリルなどの有機溶媒を使用した場合に樹脂に使用された可塑剤などの溶出が大きいものもありますのでご注意下さい。TORAST-H Bioバイアルはメタノールやアセトニトリルでもご使用頂けます。

Q アミノ酸の分析をLC-MSを利用して行っています。バイアルへの吸着は,ペプチドと同様に考慮したほうが良いのでしょうか
A アミノ酸の場合,ペプチドに比べて疎水的吸着の可能性は低いと思われますが,塩基性部位のイオン性吸着はペプチド同様に起こる可能性がありますので,ガラスバイアルへの吸着はご留意ください。

Q ガラスバイアルに入れるインサートは専用のものがありますか。
A TORAST-H Glassバイアルにはインサートはありませんが,小容量タイプをラインアップしています。インサートでは,上部と下部で濃度勾配が起きやすく(下部は試料に対する容器の接触面積が大きくなり,滞留も起こってしまうので上部に比べて低濃度となるため),経時的に測定すると変動を起こすことがありますが,TORAST-H Glassバイアルの小容量タイプでは試料溶液の嵩高さの確保と接触面積の最小化の両立を計算した設計になっているため,そういった問題は起こりません。

Q ガラスバイアルのセプタムのスリットの有無はサンプルへどのような影響がありますか?
A サンプル自身への影響ではありませんが,スリット有タイプのセプタムでは,ニードル挿入時にスリット部分が開いて空気が入るため,サンプル吸引時の陰圧を防ぎ,サンプル吸引量の再現性に優れます。特にバイアル内の液量が多く,多量に注入するようなケースでは,スリット無しのセプタムでは陰圧になりやすくなりますが,スリット有りのセプタムでは,陰圧の問題が起こりにくくなります,一方のスリット無しセプタムはより密閉性に優れるため,サンプルの保管にも適しています。

 

HPLCにおける美しいデータ取得のポイント

Q 大凡で良いのですが,代表的なカラムサイズごとのデータレートと時定数の1stチョイスな値を教えてください。
A サンプリングレートとレスポンスはカラムサイズには依存しませんので,分析対象やどのような分析をしたいかによって適切な値に変更していただくようにして下さい。分析条件検討時の1stチョイスとしましては,粒子径5 μmのカラムを使用した通常のHPLC分析であればサンプリングレート2 Hz,時定数500 msecと設定してデータを取ることが多いです。しかし,これらのパラメータの適切な設定値は,分析対象や分析条件等によって異なりますので,採取したデータに合わせて適宜変更して下さい。サンプリングレートについてはピーク面積を精度よく計算するためにはもっともピーク幅が狭い成分で20~30ポイントのデータがとれるように設定してください。レスポンスは一般的にはサンプリングレートと同程度の値に設定して下さい。

Q スペクトルではあまり差がないようですが,特級メタノールとHPLC用メタノールの違いを教えてください。
A メタノールについてはアセトニトリルやヘキサンほど特級とHPLC用でスペクトルに差はみられません。しかし,特級を用いると不純物が溶出されることがありますので,LCで分析を行う時はHPLC用の溶媒を用いるようにして下さい。

Q 有機溶媒を移動相に使用する際に脱気を行うと思うのですが目安時間はありますか?人により長くしたほうが良いという人と短時間のほうが良いという人がいるのでどちらがよいのか気になります。
A お持ちのシステムにオンライン脱気ユニット(ex. DGU-405, DGU-20Aなど)をご使用の場合は,調製時に別途移動相のオフライン脱気をしていただく必要はございません。理由はオフライン脱気終了後から再び空気が溶解して脱気前の状態に戻ってしまうからです。またオフライン脱気をすることによる移動相組成の変化が懸念されます。もし,オンライン脱気ユニットをお持ちでない場合は,別途脱気していただく必要がありますが,沸騰しない程度にできるだけ短い時間で脱気を行うようにしてください。

 

今日から始める逆相クロマトグラフィー

Q ODSカラムで中性化合物を分析しています。移動相(90%メタノール)に20 ppmトリエチルアミン(TEA)を加えると,非保持~テーリングしている夾雑物のピークが,非保持でシャープに溶出します。
この原理は,TEAが残存シラノールと優先的に相互作用して,夾雑物(塩基性化合物)が保持しなくなったと考えて正しいでしょうか。この場合,TEA添加の代わりに移動相のpHを酸性にすることでも同様の効果を得られると考えてよいでしょうか。

A 移動相のpHを酸性にすることにより,シラノールの解離が抑制され,塩基性化合物のテーリングを防ぐ効果はありますが,TEAを添加した方が塩基性化合物とシラノールの吸着をより抑制できると考えます。
非解離のシラノールの中でも電荷の偏りが存在します。TEAを添加しない場合,塩基性化合物の+とシラノールのO-との間に相互作用が起こり,塩基性化合物が吸着される可能性があります。
もし移動相のpHを酸性にするだけでも,TEAの添加と同等なテーリングと吸着の抑制効果が得られることを確認できれば,TEAを添加するよりも,移動相のpHを酸性にして頂いた方が良いです。
※一般的には,TEAを添加する場合は移動相を酸性にした方がカラムに優しいです。

 

分取精製...今のままで本当に満足ですか? ~ 効率化と柔軟性を兼ね備えた分取SFC ~

Q 二酸化炭素と他の有機溶媒を混合した際に,二酸化炭素の臨界状態が崩れたりしないのでしょうか。
A 超臨界流体の状態は崩れ,亜臨界状態や液体に変化していることも考えられます。しかし,状態が変化した場合でも溶媒としてはたらくことが出来るため,問題なくクロマトグラフィーが成立します。

Q 移動相の溶媒についてですが,2種類使うことが多いのでしょうか。移動相の溶媒は1種類だけではLCで測定することはできないのでしょうか。
A CO2とメタノールなど2種類使うことは多いですが,CO2の1種類だけで実施することも可能です。ただし,その条件で溶出や分離が出来るかどうかは別になります。

Q CO2は,最終的に大気放出でしょうか? であれば,分取SFCでは,かなりのCO2がでるので,酸欠にならないでしょうか?
A 大気放出となります。液体・超臨界CO2が気化する際,体積は約500倍に膨張します。分取SFCシステム,Nexera UC Prepの最大流量は150 mL/minですが,CO2 100 %を移動相に用いた場合,75 L/minのCO2ガスが排出されることになります。
システムを設置する環境にもよりますが,酸欠に至るほどにCO2が充満するケースは稀と考えられます。
安全に万全を期すため,対策システム導入時にはCO2モニターの設置をご提案しております。

Q 使用頻度にもよるのでしょうが,分析SFCでCO2の使用量はどのくらいになるのですか?
A 流量3 mL/min,CO2:モディファイア=90:10の汎用的な条件を8時間連続稼働させた場合,1日のCO2消費量は約1.5 kgとなります。
この条件で稼働し続けるた場合,30 kgのCO2ボンベ1本を約4週間使うことが出来る計算となり,ユーザーの皆様も1~2か月で交換されているとのことです。

Q SFCは多成分の分離には向いているのでしょうか?また,化合物の性質によって,LCでいう緩衝液のようなものは必要になりますか?
A 多成分の分離については対象とする成分によります。
また,LCでいう緩衝液についても,化合物によっては必要になる場合があります。SFCではモディファイアに添加して使用します。

Q 感度に関してはいかがでしょうか?
A 分離の選択性や溶出時間の違いを考慮せず,LCと比較した場合として回答致します。流量を速くすることで,ピーク幅が小さくなる効果が得られる場合,ピークが高くなりますので,その分高感度になる場合があります。
また,MS検出の場合,大気圧でイオン化させるESI,APCIいずれにおいてもCO2は自然に気化,脱溶媒効果が大きいため,高感度になる場合が多くあります。

Q LCとSFCで注入できるサンプル,分取できる量に違いはありますか
A 対象サンプルの溶解性,分離の選択性,溶出時間の違いを考慮せずにLCと比較した場合,使用するカラムのサイズが同じであれば同程度と考えますが,後処理の違いから実際の運用は若干異なります。
LCでは分取後の蒸発乾固の工程を出来る限り減らす目的で分離を犠牲にしても多めに注入することが一般的ですが,SFCの場合はCO2が自然に気化し,蒸発乾固の工程が軽減されるため,高純度の目的化合物を得ることを優先する目的で注入量を少なめにすることが一般的です。

Q 二酸化炭素はモディファイアを添加した場合に液体になっていると考えられるとのことですが,その場合は粘性があがって高速で流すことに問題が生じないのでしょうか。
A 液体状態であってもCO2は粘性が低いため問題はありません。

Q 手持ちのLCカラムをSFCに使えるのですか?双方で使う場合に注意することはありますか?
A SFCカラムを推奨いたしますが,LCカラムを使用することは可能です。耐圧性や材質など条件については十分にご確認ください。
運用上の注意点としては,SFCでは分析終了後,減圧とともにカラムを含むシステム内のCO2が気化します。カラム内の溶媒が気化した「枯れたカラム」をLCで使用することになりますので,ご留意ください。
また,水とCO2は混和しないため,LCカラムをSFCで使用する場合,カラム内の水を十分置換する必要があります。

Q SFCの場合,カラム洗浄はどのようにするのか
A LC同様,B%に相当するモディファイア濃度を上げることで溶出力を上げて洗浄致します。

Q 二酸化炭素は無極性と教えて頂いたと思いますが,圧力が上がると極性が高くなる理由は何ですか?
A 圧力が上がることによる密度の上昇が要因です。密度上昇に伴い,CO2分子同士が近接し,C原子とO原子の間にファンデルワールス力がはたらくため,というのが有力な説です。

Q CO2のみでも分取できるというご説明がありましたがその際には試験管にはどのような形で分取されるのでしょうか。
A 分離後のカラムを溶解させるためのメークアップポンプを標準搭載しておりますので,このポンプで使用する溶液として分取されます。
同濃度の試料を分析した際の,各成分の検出強度の比率が分かっている場合に使用可能です。UV検出器の場合だと,モル吸光係数の比が分かっている場合に使用が可能です。具体的な計算法としては,化合物Aの定量値が10 mg/L,化合物Aと化合物Bの面積比が1:2,化合物Bの化合物Aに対する感度係数が3と仮定したとき,化合物Bの濃度は10x2x3=60 mg/Lといった計算になります。

 

意外と知らない!? ~データ処理に関する落とし穴~

Q 面積百分率で計算する際に,感度係数で換算するとありましたが,具体的にどのように計算するものなのでしょうか。目的物質の吸光度係数?をどのように利用するのか教えてください。
A 同濃度の試料を分析した際の,各成分の検出強度の比率が分かっている場合に使用可能です。UV検出器の場合だと,モル吸光係数の比が分かっている場合に使用が可能です。
計算方法は,Aの定量値を100 mg/L,Aに対するBのピーク面積が3倍,Aに対するBの感度係数が2と仮定した場合,Bの濃度は100×3×2=600 mg/Lといった形になります。もちろん,AとBそれぞれに対して検量線を作成し,それぞれの検量線から定量するのが本来のやり方ですが,標準品が準備しにくかったり,簡易的な定量で構わないといった場合は感度係数で換算する場合があります。

Q 標準溶液の検量線を引く際には,0を通した検量線を引く方が正しいのでしょうか。
A 一般的には,原点を通さずに計算することの方が多いです。理想的には検量線は原点を通過するものですが,システムピークなどと重なってしまったりすると原点を通らなくなってしまう場合もあるためです。とはいえ,原点を通して計算される方も大勢いらっしゃいますし,どちらが正しくてどちらが間違いという事はありません。どちらかに統一して運用いただければ問題ないかと思います。

Q 検量線を作成する際の点の繰り返し測定数ですが,最低何点必要でしょうか?最終的に検量線にする際の値は平均で算出した値で作成すればよいでしょうか?
A 点数を多くした方が(複数回分を平均した方が)真値に近い値が出る可能性が高いのは確かですが,必ずしも複数回繰り返す必要はありません。各点1回のみでも構いませんし,実際は各点1回で検量線を作成する方の方が多いと思います。検量線の信頼性を上げるために各点複数回とる方法もある,といった形で認識いただければと思います。

 

クロマトから読むトラブル 〜分離に影響を与えるパラメータ〜

Q ポンプ脈動が起こる原因はなぜでしょうか?
A 異常なポンプ脈動はポンプに空気が噛んでしまっていることが原因だと考えられます。パージを行い空気をポンプから出す作業が必要です。

Q 示差屈折計で試料溶液注入後にベースラインが上がり続けることについて,異常ではないとのことでしたが,100分以上ベースラインが上がり続けるものなのでしょうか。また,これが異常でないということは示差屈折計での定量分析は難しいと考えるべきなのでしょうか。
A ベースラインが100分以上上がり続けることはあります。ですがその上昇量はピーク強度によってはほとんど無視できるぐらいのこともありますし,また室温調整やセルの温調によってできるだけ抑えることも可能です。また,ピーク面積が定量下限以上でしたら定量分析は問題なく行うことができます。

Q p.17 グラジエントの再平衡化時間は,カラム内容量の何倍ぐらいを流せばよいでしょうか?
A カラム内容量の3-5倍を目安としてください。また,ポンプ圧力が安定していることも確認してください。

Q きれいな超純水とはどのレベルを考えますか?
A ,超純水は様々な規格で定義されています。例えばJIS K0557 A4ではTOC 50 ppb以下としています。また,タンクや採水装置も清潔に定期管理されたものをお使いください。下記のページにも分析用水について掲載しておりますのでよろしければご覧ください。 https://www.an.shimadzu.co.jp/hplc/support/lib/lctalk/69/69intro.htm

Q 移動相を入れる容器はどのように洗浄するとよいのでしょうか。
A 水を入れて激しく振りながら洗浄するのを数回繰り返して下さい。水を満タンに入れて超音波洗浄するとより効果的です。最後に超純水で置換してください。順相など低極性溶媒を使用した際にはイソプロピルアルコールなどで置換してから洗浄してください。

Q なぜ順相カラムではベースラインが安定しにくいのでしょうか?
A 順相のカラムというより移動相によって安定化しにくくなります。順相の移動相は揮発性が高く,空気中の水分や二酸化炭素を吸収するものが多いです。そのため移動相の状態が変動してしまうことが一因です。

 

使ってみよう液体クロマトグラフィー質量分析

Q シングル四重極,トリプル四重極の構造の違いについて教えて頂けないでしょうか。
A シングル四重極質量分析計には質量分析を行う四重極が1つ搭載されています。トリプル四重極には四重極が3つが搭載されています。トリプル四重極では,質量分析を行う四重極,(イオンを壊す)CIDを行う四重極,さらに質量分析を行う四重極の順番に並んでいます。これにより,トリプル四重極では部分構造情報を用いた検出が可能になるため,化合物同定を行ったり,選択性が向上し感度や定量精度を向上させたりすることができます。

 
Top of This Page