EDX用ヘリウム置換ユニットのヘリウム使用量および代替分析手法について

1. ヘリウムガスの使用量について

EDXシリーズ用ヘリウム置換測定ユニットでは3L/minのヘリウムガスを流します。3分間流した後に分析開始し,分析中も同じ流量で使用します。分析時間5分の条件で測定する場合,使用量は
(3+5)(min) x 3(L/min) = 24L
となり,1回の分析に24Lのヘリウムガスを消費することになります。尚,分析結果に影響が出るため流量は変更できません。

2. 他のガスへの代替について

大気雰囲気下での測定では,大気中に含まれる窒素や酸素によって試料から発生した蛍光X線が吸収を受けるため,特に低エネルギー側(軽元素)は感度が低下します。そのため,軽元素の分析は真空雰囲気下で行うのが一般的ですが,液体試料などでは真空にできないため,その代わりとして窒素や酸素より蛍光X線の吸収が軽微なヘリウムガスに置換します。
原子番号が小さいほど吸収が少なくなりますので,分子量が空気(平均分子量28)と同程度あるいは大きいガスでは置換する効果がなく,また,分子量の小さい水素ガスは安全上使用できず,ヘリウム以外の代替ガスはありません。

3. ヘリウムガス置換測定に代わる液体中軽元素の測定方法について

蛍光X線分析法で,液体試料を分析する際によく用いられる方法として,点滴ろ紙法があります。点滴ろ紙法とは,液体をろ紙に滴下・乾燥の後に分析する手法です。乾燥した試料が対象ですので,真空雰囲気下で分析が行えます。

1. ろ紙を用意する

サークル付きろ紙(左:20mm径,右:30mm径)
2. 試料をろ紙上に滴下する

試料滴下(30~150μL)
3. ろ紙を試料台に置く
4. ろ紙が平らになるように,端を重石で押さえる

図1. 点滴ろ紙法における分析試料の準備

  液体法 点滴ろ紙法 
前処理方法 フィルムを張った試料容器に入れる ろ紙に滴下後,乾燥 
雰囲気ガス ヘリウム なし(真空)
前処理で使用するもの ・ 試料容器
・ ポリプロピレンフィルム(5μm厚)
・ サークル付きろ紙 
長所と短所 (長所)液体のまま測定できるため簡便
(短所)軽元素はヘリウム置換オプションが必要
(短所)軽元素はフィルムによる吸収あり
(短所)液体試料の必要量は4mL程度 
(長所)真空雰囲気下で測定可能
(長所)ろ紙に滴下する液体試料の必要量が少量(100μL)で済む
(短所)有機溶媒,オイルなど,ろ紙上サークルで液の拡散が止まらない試料は作成再現性が低い

表1. 液体法と点滴ろ紙法の比較

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