MAXima_X XRD-7000

X線回折装置

ポリキャピラリー平行ビーム光学系を用いた測定例(薬品・食品・生体編)

ポリキャピラリーとは、多数(poly)のX 線を導くガラス製の細束管(Capillary)のことで、これを用いて、ポイントX 線源から出たX 線を高い立体角で取り込み、反対側の出口で平行ビームを得るようにし たものです。この光学系は、通常の集中法(Bragg-Brentano法)と比較して、X 線管球から発生したX 線を有効に利用できるため、高い回折X 線強度が得られます。また、光学系として平行線束法を用いているので、試料測定面の位置ズレが起こっても回折角度は変わりません。このことは、曲面や凹凸のある試 料面でも高感度・高精度の測定ができることを意味しており、集中法では生じやすい、回折線の分離や角度シフトが改善されるなど、薬品、食品や生体など複雑な形状の試料を直接測定ができる特徴があります。

図1.ポリキャピラリー平行ビーム概念図

図1.ポリキャピラリー平行ビーム概念図

図2.ポリキャピラリーのSEM 像

図2.ポリキャピラリーのSEM 像

医薬品錠剤の測定例

図3.ラニティジン錠剤の外観

図3.ラニティジン錠剤の外観

医薬品や有機物では化学式が同じで、結晶形が異なる、いわゆる結晶多形が多く存在します。これ らは結晶の形が異なる為、その効能や体内での溶解速度などの特性が異なったり、場合によっては特許に抵触したりすることもあり、薬品の品質管理にはX 線回折装置による分析測定は欠かせません。 また、原材料の管理は元より、最近では最終製品である成形品の管理も多く要望されています。しかし、従来の集中法による測定では、錠剤など測定面が平面で無い試料の測定は、回折角度シフトや、 強度の低下が起こり、実用的な分析は出来ませんでした。このような形状の試料に対して、ポリキャピラリー平行ビーム法を適用した分析例を以下に示します。

図4.ラニティジン錠剤の結晶多形測定データ

図4.ラニティジン錠剤の結晶多形測定データ

図4に胃腸薬などに含まれるH2 拮抗剤ラニティジンの、ポリキャピラリー法と標準法による測定例を 示します。この試料では、Form1を主成分としていますが、結晶多形であるForm2 が存在するかどうか を調べることが目的でした。ポリキャピラリー法では、Form2 の特徴的な回折線(2θ=20.°付近)がはっきり認められ、Form2 が存在することが明らかになりました。この点、標準法(集中法)では感度が低 下し、Form2 の存在の有無をはっきり示すことは出来ませんでした。また、ポリキャピラリー法による測定プロファイルは、アモルファスからのピークであるハローピークと結晶部分のピークがはっきり区別で き、結晶化度の計算も正確に行なえることが判ります。

歯牙の測定

図5.歯の外観写真

図5.歯の外観写真

図5のような歯の頭部を通常法で測定しますと、中央部の窪みや回りの凸部にX 線が遮られて、著 しく強度が低下します。ポリキャピラリー法では試料面の凹凸の影響が少なく、通常法では検出されなかった2θ=28°、47°付近の微小な回折線も検出されました。なお、通常法の回折角度は標準試料 のIC_DD データベースカード No.76-694(図中線)と比較して、低角度側にシフトしております。 これらは歯の窪みから反射した 回折線の影響と推定されます。

図6.歯牙の測定例

図6.歯牙の測定例

ボール型チョコレートの測定

図7.ボール型チョコの外観

図7.ボール型チョコの外観

図7 のようなボール型チョコレートを通常法で測定したところ、殆ど結晶性の回折線が検出できませ んでした。ポリキャピラリー法では図8に示すとおりチョコレートに含むショ糖の回折線が明瞭に検出されました。ショ糖の結晶化度は約50%でした。通常法で回折線強度が著しく低下した原因は試料面の湾曲により回折線が影になり、一部中央部しか回折に寄与していない為と考えられます。

図8.ボール型チョコの測定例(結晶化度)

図8.ボール型チョコの測定例(結晶化度)

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