MAXima_X XRD-7000

X線回折装置

ポリキャピラリー平行ビーム光学系を用いた測定例(機械部品編)

ポリキャピラリーとは、多数(poly)のX線を導くガラス製の細束管(Capillary)のことで、これを用いて、ポイントX線源から出たX 線を高い立体角で取り込み、反対側の出口で平行ビームを得るようにしたものです。この光学系は、通常の集中法(Bragg-Brentano法)と比較して、X 線管球から発生したX線を有効に利用できるため、高い回折X 線強度が得られます。また、光学系として平行線束法を用いているので、試料測定面の位置ズレが起こっても回折角度は変わりません。このことは、曲面や凹凸のある試料面でも高感度・高精度の測定ができることを意味しており、集中法では生じやすい、回折線の分離や角度シフトが改善されるなど、機械部品などの実用測定に即した特徴があります。

図1.ポリキャピラリー平行ビーム原理図

図1.ポリキャピラリー平行ビーム原理図

図2.ポリキャピラリーチューブのSEM写真

図2.ポリキャピラリーチューブのSEM写真

ゼオライト触媒の測定例

図3.ゼオライト触媒の写真

図3.ゼオライト触媒の写真

凹凸のある試料の測定例として、自動車排気ガス浄化に用いられているゼオライト系触媒の測定例を示 します。通常法(集中法)では図4の下段に示すとおり、回折角度位置のシフトや回折線の分離が生じます。回折角度が低角度にシフトするのは図1に示す、試料面の穴の内部で反射した回折線が重なったもの と推測されます。 一方、ポリキャピラリー平行ビーム法では、測定された回折線の角度位置がICDDデータベースカード N.o.46-1600 Mg2Al4Si5O18(図中線で示す)と完全に一致しており、試料形状の影響を受けずに分析できる事を示しております。また、回折強度も大きく微小ピークもはっきりと捉えることが出来ます。

図4.ゼオライト触媒の測定データ

図4.ゼオライト触媒の測定データ

溶接ビード部の測定

図5.溶接ビード部品の写真

図5.溶接ビード部品の写真

図6に溶接ビードの腐食部の測定例を示します。腐食生成物はマグネタイト(Fe3O4)を主成分として、 Fe2O3,FeO などの酸化物が検出されました。回折角度2θ=45°付近に検出されたα-Fe は母材と考えられ ます。なお、定量値は検索ソフトで簡易定量(IC_DDデータベースカードに記載されているI/Ic コランダム 比を用いた簡易計算)を行いました。このように、ポリキャピラリー法では、試料の凹凸を気にせずに測定できるため、測定対象が広がります。また、回折強度も非常に高いものが得られるため、検索精度の向上が 期待できます。

図6.溶接ビード腐食部の測定データ

図6.溶接ビード腐食部の測定データ

スチールボールの残留オーステナイトの測定例

図7.スチールボールの写真

図7.スチールボールの写真

試料として、直径約2mm のミニチェアボールベアリングに使用されている、スチールボールを用いた、残留オーステナイトの定量測定例を示します。この場合、試料面は球面でかつ曲率が小さいため、通常法では、試料の頂点付近からのみの回折線しか検出できず、著しい感度低下が生じます。その点、ポリキャピラリー法では、広い面積からの回折線が検出できるため、高い感度での測定が可能で、この測定ではγ-(200).(220)面の回折線(図8最上段)が認められました。また、直接比較法を用いた定量分析で、5本の回折線の平均値で1.01%が得られました。この結果から、凹凸の大きい試料の微小ピークの検出には、ポリキャピラリー平行ビーム法が、大変有効である事が分りました。

図8.スチールボールの測定データ

図8.スチールボールの測定データ

Top of This Page