SPM-9700HT:ユーザーレビュー

平山 朋子さま(京都大学大学院 工学研究科 教授)
 URL: https://www.me.t.kyoto-u.ac.jp/ja/research/introduction/kikaikinouyouso

※掲載内容(所属団体,役職名等)は取材時のものです。

 

 

 

先生のご研究内容について教えてください!

当研究室は機械理工学専攻の中の「機械機能要素工学研究室」として,軸受や歯車といった機械要素の更なる高性能化,高効率化を目指した研究を行っています。近年の省エネルギー社会構築に向けた流れにおいて,特に望まれているのが機械要素内での摩擦損失の低減です。これは「トライボロジー(=摩擦・摩耗・潤滑学)」と呼ばれる学問領域において多くの研究がなされていますが,私たちはその中でも摺動面の精密分析に基づく最適潤滑設計に関する研究に携わっています。通常,機械要素内の摺動面には潤滑油と呼ばれる油が塗布されますが,その潤滑油の性能をできる限り引き出し,低摩擦摺動を実現し得る機械要素設計を模索しています。

 

ご研究の中で,SPMはどのようにご活用いただいていますか?

当研究室では島津製作所製の原子間力顕微鏡SPM-9700HTを活用しています。機械摺動面で生じている現象を正確に把握するためには,ナノレベルで表面を擦り,その表面状態を子細に観察する必要があります。SPM-9700HTは「表面を擦る」「摩擦係数を測る」「摺動痕を観察する」といった一連の流れを潤滑油中で行うことができるため,巨視的な摩擦試験では得難い摺動面の精密な分析・評価が可能です。一例として,下図はMoDTCと呼ばれる添加剤を混入した潤滑油中で銅表面を擦ったときの表面プロファイルですが,擦った箇所でのみMoDTC由来の硬質膜(トライボフィルム)が上方にせり出す形で成長している様子が見て取れます。

 

A: MoDTCを含む潤滑油中で銅表面を1時間摺動した領域(2×2µm),B: 摩擦試験を行った領域(5×5µm),C: 未摺動領域(20×20µm)。A領域で硬質膜のせり上がりが見られる。C領域にあるフレーク状の物質は摩擦試験によってA領域での生成物が飛び散ったものと推察される。
(出典:潤滑経済, 632 (2017) 9.)

 

当社SPMについて,レビューをお願いします!

上述のように,SPM-9700HTは潤滑摺動面の微視的観察・評価に極めて適しており,当研究室ナンバーワンの稼働率を誇る装置として大変重宝しています。潤滑油中であっても安定した分析結果をもたらしてくれるのみならず,操作性や堅牢性の面でも安心して使用することができます。最近は加熱用ヒータを取り付けることによる昇温状態での分析にも取り組んでおり,現在さらに興味深い結果が得られつつあります。機械工学全般において,微視的評価と巨視的性能を力学的に繋げようとする試みは近年一層盛んになっており,SPM-9700HTの活躍の場も今後さらに増えて行くのではないかと期待いたします。

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