AFMを用いた高温強度材料のマルテンサイト ラス組織構造解析

 
観察例

 

AFMを用いた高温強度材料のマルテンサイト ラス組織構造解析
図1 ラス組織の観察とラス幅の計測を行った例

サンプル:12Cr鋼(結晶粒径30μm)
ラス幅:0.26~0.42μm

高Cr鋼は焼戻しマルテンサイト ラス組織により高温域において高強度を有する。マルテンサイト組織の構成要素のうち,最も微小な構造がラス組織であり,その形態が強化機構の発現に大きな影響を及ぼすとされている。ラス組織の大きさを代表する値がラス幅である。

ラス組織の観察およびラス幅の計測には従来TEMを用いるのが一般的であったが,ラス境界に析出している炭化物に対して局部電池作用を持たせた腐食処理を行い,AFMで計測することでラス幅を簡便に計測することができる。図1は,AFMによる三次元観察と断面プロファイルにより,ラス組織の観察とラス幅の計測を行った例である。ラス幅は,0.26~0.42μmであった。

 
図2 ラス組織の観察とラス幅の計測を行った例

サンプル:12Cr鋼(結晶粒径200μm)
ラス幅:0.55~0.76μm

図2では,結晶粒径の増大に対応してラス幅も粗大化していることがわかる。ラス幅は0.55~0.76μmであった。

杉浦隆次,横堀壽光,高森新樹,田渕正明,富士彰夫,依田満夫,小林謙一,横堀武夫,日本金属学会誌,70,5(2006)452-460


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