FF-2020

におい識別装置

においの表現:偏位臭マップ,絶対値表現解析,主成分分析とは?

 FF-2020は,次の3つの”においの表現方法”を採用しています。 におい識別する目的によって使い分けることができます。 においを表現する「偏位臭マップ法」,「絶対値表現解析」,「主成分分析(多変量解析)」の原理についてご説明します。(「偏位臭マップ法」は,Sシステムでのみ利用できます。)

偏位臭マップ法

牛乳の劣化の定量

牛乳の劣化の定量

中心サンプル臭を基準に におい種の変化を官能表現で評価

偏位臭マップ法は,基準となるサンプル臭に対してバランスを変化させる可能性のあるにおい(偏位臭)2種類を別々に少しずつ加えていったデータから,サンプル臭を中心にしてこれら2つのにおいを軸としたにおい質のマップ(偏位臭マップ)を作成し,においの変化を視覚的に表現します。

特長

  • 賞味期限の客観的設定が可能になります。
  • 異臭が混入した原因の推定が容易になります。
  • 商品間の香りの差別化をマップとしてわかりやすく表現できます。

絶対値表現解析

牛乳の劣化の絶対値表現

牛乳の劣化の絶対値表現

設定した基準ガスとの比較によって,においを数値化やパターン化し,客観的に評価
絶対値表現解析とは,指標とする基準ガスを設定してにおいを表す土俵を作成し,基準ガスとの比較を数値化し,サンプルのにおいの質と強さを土俵上のパターンや数値で表現する島津製作所独自の解析方法です。

特長

  • においの質の類似や相違が,基準ガスのレーダーチャート軸上のパターンとして客観的に表現できます。
  • においの強さを指標として設定したガスの検量線をもとに臭気指数と同じ考えによる予測値(臭気指数相当値)を表示することが可能です。


基準ガスの設定
スタンダードモード: 島津の選定した9種の基準ガスと比較し解析を行います。
ユーザーモード: 任意のガスを基準ガスとして設定して解析を行います。サンプル間の類似性評価などに有効です。

主成分分析(多変量解析)

等級の異なる日本茶の評価

等級の異なる日本茶の評価

多数のサンプルを同一空間で比較可能
主成分分析は,複数のガスセンサを搭載するにおい識別装置の測定データの解析方法として最も一般的に使用される方法です。
解析値を2次元または3次元座標上にプロットし,においマップとして表示します。座標上のサンプルのプロット位置(解析値)が近ければ,においの強さや質の両面でお互いは類似しているという評価ができます。また,においの強さや質の点で違いがあれば,サンプルのプロット位置は離れます。

特長

  • 同じジャンルの多数のサンプルを比較した場合に,そのにおいの強さと質の両面でのグループ分けが分かりやすく表示できます。
  • 基準となるサンプルに対して,他のサンプルがどのくらい近いかをビジュアル的に分かりやすく表示できます。

偏位臭マップとは

 基準となるサンプル臭に対してバランスを変化させる可能性のあるにおい(偏位臭)2種類を別々に少しずつ加えていったデータから,サンプル臭を中心にしてこれら2つのにおいを軸としたにおい質のマップです。

 偏位臭マップにより,商品間の香りの違いを比較したり,異臭が混入した場合の原因推定がしやすくなります。

偏位臭マップの作成方法

基準となるサンプル(C)を測定します。

偏位臭1を少し加えたにおい(H1)を作成し,測定します。

偏位臭2を少し加えたにおい(H2)を作成し,測定します。

サンプル(S)を測定します。

これらのデータを真上から見ると,上記のようになります

これを偏位臭の2つの軸を垂直にして表示させます。

偏位臭の考え方

日本酒のフレーバーホイール

日本酒のフレーバーホイール 出典: 宇都宮仁他,酒類研究所報告 178, 45-52(2006)

官能評価の分野では,その商品の風味品質を評価する用語を集めたフレーバーホイールというものが提示されている食品があります。 右の図は,日本酒のかおりの例ですが,用語だけでなくその用語の示す香りを有する物質も特定されています。 例えば,エステルであればカプロン酸エチルであるとか,ゴム臭であれば裁断した赤ゴム栓を酒に一晩つけるなどになります。  このように品質評価用語を与えることができるということは,逆にその香りで全体のバランスが変化する可能性があることを意味するとも解釈できます。 今回,多数の香りが合わさって香りのバランスを保っている状態から香りのバランスを変化させる可能性があるものを偏位臭と名づけることにしました。

日本酒のフレーバーホイール
偏位臭もご用意しています

偏位臭もご用意しています
偏位臭のいくつかについては,すぐに使っていただけるよう偏位臭物質をセンサに影響を与えない溶媒に溶かし使いやすい濃度に希釈した偏位臭溶液をご用意しました。また,この溶媒のみも準備しておりますので,香料やその他のにおいをお持ちであれば,本溶媒を使って適当な濃度に希釈し,偏位臭としてご利用いただけます。

偏位臭のラインナップは,現在6種類。
(フルーティ,グリーン,豆感,ロースト感,アルデヒド臭,バター様)
今後ラインナップを増やしていきます。

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