LCMS-IT-TOF

液体クロマトグラフ質量分析計

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代謝物構造解析ソフトウェア MetID Solution 

構造変化

MetID Solutionは,代謝前と代謝後のサンプルのデータを比較して,予想される代謝物および未知の代謝物を探索します。 (メタボロミクス解析において,膨大な情報から変化した部分を統計手法により探し出すには,Profiling Solutionをご覧ください。)
代謝後のサンプルには存在し,代謝前のサンプルにはないピークを代謝物の可能性があると考え,同位体パターンの比較,組成推定ツールとの連携により高精度な代謝物の同定を支援します。
 また,未知代謝物候補(代謝経路から予想されない成分)についても,MSnスペクトルによる多量変換解析と組成推定ツールによる候補の絞込みで,効率的な代謝物同定が実現できます。

 本手法は,代謝物解析だけでなく不純物同定や天然物化学における類似化合物の検出・同定にも応用して頂けます。

代謝前と代謝後サンプルの比較

代謝前と代謝後の構造変化

MetID Solutionで,代謝前のサンプルと代謝後のサンプルを比較し,どのような代謝物が生成されているか確認することができます。
例えば,組成式がC 18 H 11 N 2 である化合物が酸化反応を受けて代謝された場合のデータで説明します。 組成式がC 18 H 11 N 2 である化合物は,酸化反応を受けると右記のように変化します。

代謝前と代謝後のマスクロマトグラム

m/z:289.0739のマスクロマトグラム

 代謝前と代謝後のサンプルに対し,m/zが289.0739のマスクロマトグラムで比較すると,代謝後のサンプルのみで確認できるピークがあります。  このような場合は,代謝物と判定されます。
 ピーク間の比較では,代謝物に近い質量をもつ物質を代謝物として検出してしまう可能性がありますが,高分解能/高精度な島津 LCMS-IT-TOF では精密質量幅で描いたクロマトグラム(XIC:Exracted Ion Chromatogram)間で比較するため信頼性の高い判定ができます。

 代謝経路には,酸化などの典型的なパターンが存在し,MetID Solutionではそれらの代謝物の有無を判定することができます。 また,それ以外の代謝経路がある可能性があるので,全ての測定質量範囲のマスクロマトグラムを比較して,それぞれのサンプル間での違いも判定します。 これらの違いについては,組成推定が行われますので,親化合物からそのような代謝が可能かどうか判断することができます。 これらの結果は,以下のような画面で表示されます。

ピーク解析モード

多変量解析による代謝物候補の検出

プリカーサイオン解析

プリカーサイオン解析

 親化合物のMSnスペクトル(n≧2)と代謝物のMSnスペクトルについて何らかの相関性があることが多いので,統計的手法(PLS法:部分最小二乗法)を用いて,各プリカーサイオンと親化合物のMSnスペクトルとの相関性を解析します。
 基本的には親化合物が代謝された場合,代謝物が親化合物の構造の一部を維持している可能性が高いと考えられます。 よって,代謝物のMSnスペクトル中に親化合物との共通のプロダクトイオンやニュートラルロスが見られることを利用し,相関性の高いプリカーサイオンを代謝物の候補として自動抽出します。
 解析結果は,以下のような画面で表示されます。画面左上に,各プリカーサイオンの親化合物イオンとの相関性がプロットされています。 相関性の高いプリカーサイオンは,X軸方向の0以上の領域に分布しています。 また,それらは,画面下部のプリカーサイオンのリストに表示されます。

プリカーサーイオン解析画面

プリカーサーイオン解析画面

MetID Solutionは,MS/MSスペクトルを採取するためのメソッドは自動作成が可能です。 1回の分析で,保持時間,MSスペクトルとMS/MSスペクトルの精密質量情報を得ることができ,従来より少ない分析回数で予想代謝物の同定に加え,未知代謝物の検出・推定を信頼性高く効率良く行うことができます。

代謝物候補の組成推定

未知の代謝物でも,組成推定ツールにより,組成式の候補と投与薬物の差から代謝の手がかりを得ることができます。
 精密質量を活用して,未知の代謝物を自動的に組成推定します。 また,MSスペクトルの同位体パターンの比較を行い,確度の高い推定が可能です。 またVer.1.1では同位体パターンの一致度によって代謝物候補を絞り込む機能を追加し,より確度の高い推定を行うことができます。

ラジオクロマトグラムや同位体フィルタクロマトグラムによる同定

新薬候補化合物の絞込みが進むと,放射性同位体標識化合物が合成され,より詳細な研究に使用されることも少なくありません(代謝後も標識された箇所が残るため)が,Ver 1.1では,放射性同位体標識化合物を放射性検出器で検出したラジオクロマトグラムを,MS検出器の分析結果とあわせて表示でき信頼性の高い代謝物候補を検出します。さらに,ラジオクロマトグラムと共に,UV検出器のクロマトグラムの表示や波形処理を行うことが可能で,MSの処理結果との比較解析を簡単に行えます。

 一方,同位体フィルタクロマトグラムにより,塩素や臭素のような特徴的な同位体パターンを持つ元素を含む化合物を信頼性高く検出できます。 安定同位体や放射性同位体で標識した化合物の検出にも非常に有用です。

同位体フィルタクロマトグラムとは
MS1スキャン中は常時,対応する同位体比を持たないイオンをフィルタにかけて除外し,フィルタ処理後のスペクトルを用いて再構築したクロマトグラムです。

同位体標識された薬物と標識されていない薬物を一定の比率で混合して投与すると,代謝物は一般的に質量差に応じた同位体パターンを示します。 下図はC12の替わりにC14で標識した場合ですが,C14とC12の質量差(2Da)のところに初めの混合比率に従った強度比でスペクトルピークが現れています。

スペクトルパターン

このようなパターンでスペクトルが現れる箇所を探し,強度をプロットしていくと,同位体フィルタクロマトグラムとして代謝物を検出することができます。

同位体フィルタクロマトグラム

同位体フィルタクロマトグラム

 同位体フィルタクロマトグラムのピークは,理想的な状態であれば,すべて親化合物もしくはその類似構造の化合物(代謝物や不純物など)になります。

Prominence Technical Report No.11(C146-2040)でMetID Solutionについて,解析例を示して詳細にご紹介しています。 Prominence Technical Report No.11のPDFは,Technical Reportダウンロードページからダウンロードしていただけます。

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