LCMS-9030

高速液体クロマトグラフ質量分析計

信頼性の高い同定と定量 - 向精神薬の分析 -

エチゾラムおよびトリアゾラムは抗不安薬・睡眠薬として使用頻度の多い向精神薬です。これらの薬物の未変化体および代謝物は類似構造を有する同重体です。特に,それぞれの代謝物であるα-ヒドロキシエチゾラムとα-ヒドロキシトリアゾラムは,液体クロマトグラフィー(LC)による分離が非常に難しく,また分子量がほぼ同じであるため,低分解能の質量分析装置では両者を識別して検出することは困難です。一方,飛行時間型質量分析計は高分解能であることから質量分離することが可能です。そこで,LCMS-9030 を用いてエチゾラム,α-ヒドロキシエチゾラム,トリアゾラム,α-ヒドロキシトリアゾラム,4-ヒドロキシトリアゾラムの一斉分析を行いました。下図は,全血に10 ng/mL に添加したエチゾラム, トリアゾラムとその代謝物のMSクロマトグラムです。LCでの分離困難であったα-ヒドロキシエチゾラムとα-ヒドロキシトリアゾラムを含め,全成分を検出することができました。


全血に10 ng/mLに添加したエチゾラム, トリアゾラムとその代謝物のマスクロマトグラム

  濃度変化に対しても安定した質量精度

Q-TOF は定性分析だけでなく,精密質量を活かした定量分析も有用であり,定量性能もQ-TOF の重要なファクターです。
代表的な向精神薬であるエチゾラムを段階希釈し,LCMS-9030のMSモードで測定しました。(右上図参照)1-1000 pg の濃度範囲で良好なダイナミックレンジが得られました。また,LOQ付近の低濃度でも質量誤差2 ppm未満,高濃度では質量誤差1 ppm未満という良好な質量精度が得られました。LCMS-9030 は濃度変化に対しても安定した質量精度を維持します。そして,その質量精度と広いダイナミックレンジで,目的化合物の確実な定量を実現します。


エチゾラムの検量線: MSモード


エチゾラムのマススペクトル

  LCMS-8060のDNAを引き継いだスペクトルパターン

先に述べたように,LCMS-9030はLCMS-8060と同様のHeated ESIを採用し,イオン導入部からイオン分離部まではLCMS-8060と共通の技術を搭載しています。したがって,コリジョンエネルギー(CE)やイオン化部の温度などLCMS-8060と共通のパラメータ値をそのままLCMS-9030で使用することができます。
下図はLCMS-9030とLCMS-8060で測定したエチゾラムのプロダクトイオンスペクトルです。LCMS-9030にはCEの値を指定した範囲内で連続的に変化させてスペクトルを取得する「CE Spread」という機能が搭載されています。LCMS-9030のデータはCE Spread機能を用いて,CEを-20から-50 Vまで変化させて得られたものです。一方,LCMS-8060のスペクトルは,CE が-25, -30, -35, -40, -45 V のときの各プロダクトインスペクトルを合体した,いわゆるマージスペクトル(merged spectrum)です。両者を比較すると,スペクトルパターンがよく一致しており,LCMS-9030とLCMS-8060で分析条件の互換性が高いことを示しています。


エチゾラムのプロダクトイオンスペクトル


エチゾラムの開裂パターン

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