MS検出器は,高感度,高検出選択性,高定性能力で,HPLC分析の生産性の向上をもたらします
医薬・食品・環境分野などでは,熱に不安定な成分や難揮発性夾雑が多いためHPLCが幅広く用いられています。
しかし標準的なUV検出だけでは,感度が得られないことがあります。 また複雑なマトリックス中の微量成分の分析など,高度な分離条件の検討が必要となる機会も増えてきました。 そして,不純物の影響による定性・定量のミスを見逃す可能性もあり 信頼性が十分とは言えません。
このような要求こそ,質量ごとの信号を測定するMS検出器が大いに力を発揮するシーンです。
UV吸収がほとんどない化合物の高感度測定
例えばマクロライド系抗生物質は共役二重結合がなくUV吸収をほとんど持たないため,未修飾では高感度分析は期待できません。 LC-MSでは,未修飾の状態でもプロトン付加イオン(M+H)+をモニターイオンとした選択イオン検出(SIM)モードを用いることで高感度検出が可能です。
マクロライド系抗生物質(オレアンドマイシン)を用いたLCMS測定例


SIM クロマトグラム
オレアンドマイシン(MW 687)

MS スペクトル
多成分一斉分析で成分ごとの選択的検出
カーバメート系農薬は熱に不安定であり,HPLCあるいはLC-MSでの分析が適しています。 LC-MSでは,各成分が完全に分離していない場合でもMS情報に基づいた高感度なクロマトグラムを得ることが可能なので,このような試料の一斉分析に力を発揮します。(多数の目的成分をそれぞれ選択的に検出するだけではなく,夾雑成分の影響も除去しやすくなります)
LC-MSなら,多成分の一斉分析でも分離条件の検討に時間や労力かけることなく分析することが可能です。
1) カルベンダム | 2) アシュラム | 3) オキサミル | 4) メソミル |
5) チオファネートメチル | 6) チオジカルブ | 7) カルバリル | 8) XMC |
9) チウラム | 10) イソプロカルブ | 11) ベノミル | 12) ジメピペレート |
13) ベンフラカルブ | 14) カルボフラン |

カーバメート系農薬のMSクロマトグラム