生薬中アフラトキシンの分析(HPLC)

UHPLC/HPLC Applications

LCtalk96号 Applications

 カビ毒の一種であるアフラトキシンは,強い急性毒性や発がん性を有しており,食品中のアフラトキシンは食品衛生法に基づき厳しく規制されています。このような中,天然の植物から生産される生薬や生薬を原料とする製剤においても,アフラトキシンの試験検査を実施することが求められており,第十七改正日本薬局方改正案として「生薬および生薬製剤のアフラトキシン試験法」がJP フォーラムに掲載されました (2015 年7 月現在)。基準値に関しては,食品衛生法における総アフラトキシン ( アフラトキシンB1,B2,G1及び G2の総和 ) 規制値10 µg/kg 以下が参考情報として記載されています。ここでは,この情報に基づき,生薬中アフラトキシンの感度確認を行った結果をご紹介します。
 極性溶媒中のアフラトキシンB1および G1は, B2および G2と比べて蛍光強度が減少することが知られています。そのため,蛍光強度を増加させる方法として,TFA(トリフルオロ酢酸)によるプレカラム誘導体化法,フォトケミカルリアクタ―を用いるポストカラム誘導体化法,電気化学的ポストカラム誘導体化法などがあります。今回は, TFA 誘導体化法により検討しました。さらに,高感度蛍光検出器を用いた直接蛍光検出法の比較も試みました。

TFAによるプレカラム誘導体化法

 本法では,分析試料をHPLC に供する前にTFA で処理してアフラトキシンB1および G1を誘導体化します。図1 に,第十七改正日本薬局方改正案を参考にした試料前処理手順を示します。試料には複合生薬である葛根湯を用いました。試料にアフラトキシン標準液を各々 0.25 µg/kg( 総量 1 µg/kg) となるように添加後,前処理を行いました。この濃度は,上記食品衛生法で定められている基準値の 1/10 濃度に相当します。なお,夾雑成分の除去には,イムノアフィニティカラム “AFLAKING” ( 堀場製作所製 ) を用いました。
 表1 に,HPLC 分析条件を示します。図2 には,葛根湯のクロマトグラムを示します。図中下段は,アフラトキシン標準液未添加試料のクロマトグラムです。なお,アフラトキシンB2溶出後も夾雑成分のピークが確認されたため,カラム洗浄工程を追加しています。

 

直接蛍光検出法

 TFA によるプレカラム誘導体化法は,手作業により揮発性の強酸である TFA を取り扱わねばならない煩雑さや反応の待ち時間が必要などの難点があります。そこで,高感度蛍光検出器 "RF-20Axs" を用いて直接検出するとともに,超高速液体クロマトグラフィー ( UHPLC ) により分析時間の短縮を検討しました。
 表2 に,UHPLC 分析条件を示します。UHPLC カラムには,"Shim-pack XR-ODS Ⅱ"を用いました。図3 に,アフラトキシン標準液 ( 各アフラトキシン濃度:0.1 µg/L ) を 10 µL 注入したクロマトグラムを示します。この時,アフラトキシンB1 のピーク面積の相対標準偏差 ( n=6 ) は,2.6 % でした。また,各アフラトキシン濃度が 0.1~20 µg/L の範囲で,各成分とも R2=0.9999 以上の良好な直線性が得られました。これらの結果から,RF-20Axs を用いることにより,TFA による誘導体化を行わなくても十分な感度が得られることがわかりました。また,表2 の UHPLC 分析条件では,洗浄工程を含めた分析時間が,TFA 誘導体化法による表1 の HPLC 条件に比べて約 1/3 に短縮できました。

 次に,本 UHPLC 分析条件により葛根湯の分析を行いました。図4 に,前処理手順を示します。図1 の手順と同様,試料にアフラトキシン標準液を各々 0.25 µg/kg( 総量 1 µg/kg) となるように添加しました。本手順では,図1 で青く囲った TFA による誘導体化処理を行っていません。 図5 に,葛根湯のクロマトグラムを示します。本法により,アフラトキシン分析が迅速に行えることがわかりました。

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