コアシェル充塡剤のはなし

LCtalk87号 入門

今回は,充塡剤に関するお話です。HPLC の充塡剤として主に用いられるのは,シリカゲルとポリマー基材ですが,機械的な強度が高い,様々な官能基が修飾しやすいという2 つの利点により,シリカゲル基材が多く使用されています。特に,近年の高速化・高分離化に,このシリカゲル基材の微粒子化が大きく寄与しています。
高速・高分離カラムとしては,2 µm 程度の微粒子充塡カラムとモノリスタイプのカラムとがありますが,今回は微粒子充塡剤の中で,最近注目度が高いコアシェル充塡剤について,その構造と性能についてご紹介します。

●コアシェル充塡剤の構造

図1 に, コアシェル充塡剤Phenomenex 社製“Kinetex”の構造を示します。

図1 コアシェル充填剤の構造

図1 コアシェル充塡剤の構造

コアシェル充塡剤は,細孔を持たない(ノンポーラス)中心部の「核-コア(core)」と,その核に官能基を有した多孔質のシリカゲル層を化学的に結合させた「殻-シェル(shell)」の2つの部分から構成されています。
“Kinetex”は,1.9 µm のコアと0.35 µm のシェルを持ち,直径は2.6 µm になります。
コアは無孔性であるため,比較的均一な粒子を作成することが可能です。その粒度分布は< 1 µm であり,一般的な多孔性充塡剤の1/4 程度であるとの報告があります。その上に,均一なシェル層を4 ~ 9 層重ねて多孔層とするため,粒子径はほぼ均一なものが形成されます。
よって,コアシェル充塡剤は多孔性充塡剤よりも,粒度分布が狭く,これを充塡したカラムからは高性能データが得られています。

●コアシェル充塡剤の構造と溶質の物質移動について

次に,コアシェル充塡剤と一般的に広く使用されている多孔性充塡剤との溶質の物質移動拡散の違いについて説明します。
図2 上は,コアシェル充塡剤を溶質が移動する様子を模式的に示したものです。溶質はわずか0.35 µm のシェル部分のみに拡散しながら,官能基との相互作用を受け,移動していきます。
一方,図2 下は多孔性充塡剤を溶質が移動する様子を示したものです。溶質は多孔性部分,充塡剤の奥深く(模式図では充塡剤中心部付近まで)浸透していくため,行路が複雑で長くなり,拡散が大きくなります。よって,結論的にはピークが広がることになります。

図2 溶質の物質移動拡散の違い

図2 溶質の物質移動拡散の違い

図3 に,コアシェル充塡剤と多孔性充塡剤の溶質との物質移動拡散とピークの広がりについての模式図を示します。この2.6 µm の“Kinetex”カラムは,粒子径の小さいサブ2 µm クラスの多孔性充塡剤カラムと同等の理論段性能を有していることがわかります。拡散の低減により,粒子径は大きくとも,十分な分離性能が得られるわけです。

(Yo)

図3 物質移動拡散とピークの広がり

図3 物質移動拡散とピークの広がり

⇒LCtalkの郵送会員の新規お申し込みは,Web上から行えます。
会員制サービスシステム「Shim-Solutions Club」のページで,"新規登録"または
"登録内容変更" の中のサービス内容で「LCtalk郵送」をYesにしてご登録ください。
https://solutions.shimadzu.co.jp/index.html
http://solutions.shimadzu.co.jp/

どうぞよろしくお願いします。

Top of This Page