イチョウ葉エキス中ギンコール酸の分析 (HPLC)
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イチョウ葉に含まれる有効性分を抽出したイチョウ葉エキスは,脳の血液循環の不全や末梢血管循環不全に対して改善効果があると報告されており,日本や米国では健康補助食品として,またドイツやフランスでは医薬品として使用されています。しかし,イチョウ葉にはギンコール酸をはじめとするアルキルフェノール類も含まれており,これらが原因でアレルギー反応を起こすこともあり,米国薬局方(USP)などでは,ギンコール酸含有量に上限値が定められています。
ここでは,イチョウ葉に含まれるギンコール酸を分析した例をご紹介します。
イチョウ葉に含まれるギンコール酸として,ギンコール酸C13:0( 以下GA C13:0),GA C15:0,GAC15:1 とGA C17:1 の分析を行いました。構造式を図1 に示します。
これらギンコール酸は疎水性が高いため,分離カラムにはシリカゲルにオクチル基(C8)を修飾した“Shimpack CLC-C8” を用いました。検出はフォトダイオードアレイ検出器により行いました。分析条件を表1 に示します。
図2 に,ギンコール酸類4 成分の標準溶液をグラジエント溶離法で分離し,紫外311 nm で検出したクロマトグラムを示します。

図1 ギンコール酸の構造式

表1 分析条件

図2 ギンコール酸類 4 成分のクロマトグラム
実サンプルの分析例として,イチョウ葉エキス含有市販サプリメントの分析を行いました。図3 に,前処理方法を示します。
本サプリメントからはギンコール酸類がほとんど検出されませんでしたので,前処理液にギンコール酸を標準添加しました。
図4 に,これらのクロマトグラムを示します。

図3 試料前処理方法

図4 イチョウ葉エキス含有サプリメントのクロマトグラム
(上段)ギンコール酸標準添加,(下段)未添加