LCハイスループット分析の実際

製品技術解説

LCtalk41号TEC

近年,新規医薬品の創薬開発を中心にコンビナトリアル合成やハイスループットスクリーニングが発展すると共に,HPLC分析にも高速化が求められています。 HPLCでの分析時間の高速化を追求する場合,当然,単に分析時間短縮だけでなく,必要な分離をきちんと確保されていることが前提として求められます。

 今回は,分離と時間短縮の両立と言う観点からハイスループットHPLC分析の考え方と特長について,1)ショートカラムと高速グラジエントの組み合わせと,2)新たな専用カラムの登場,の2つの例を挙げて説明してみましょう。

(1)ショートカラムと高速グラジエントの組み合わせ

 図1に示すように,一定のグラジエントに要する時間と流量の積が一定であるときそのクロマトグラムは丁度,拡大・縮小されたようになり,各ピークの分離はそれほど損なわれません。 クロマトグラムで見られるように,カラムの耐圧の範囲内でできる限り高流量でグラジエント分析を行うことにより,時間短縮と分離の両立が可能となります。 また,ショートカラムを用いることにより,グラジエント分析での再平衡化時間も短縮できます。

 一般にこのような分析では,ピークは非常にシャープになるため,検出器のレスポンスとデータ処理装置への取り込み間隔に注意する必要があります。
 図2では,検出器のレスポンスを遅く設定しますと,本来,分離されているピークも検出器での平均化により不分離ピークとなってしまうことが分かります。 検出器のレスポンス及びデータ処理装置の取り込み間隔はできる限り短く設定する必要があります。

図1.グラジエント時間と流量

図2.検出器のレスポンスの影響

(2)ハイスループット分析用カラムの登場

 今回こういった,ハイスループット分析用として開発された“Shim-pack HT-ODS”というユニークなカラムをご紹介しましょう。 一般的なカラムでは粒子径5μmの全多孔性シリカゲルが用いられていることに対し,このカラムは2μmの非多孔性シリカゲルを用いています。
 このカラムは粒子の微細化により高分離を達成すると共に,ノンポーラス化(非多孔質化)により高速分離を実現しています。 図3には,一般的な5μmの全多孔性シリカゲルを用いたODSショートカラムとの比較を示しました。 この比較クロマトグラムのように同等の分離を確保しながら約2.5倍の時間短縮が可能です。 また,ノンポーラス化のメリットとして保持容量が小さくなりますので,低極性化合物までより確実に溶出されます。
 Shim-pack HT-ODSを用いたハイスループット分析では,前述の検出器のレスポンスに加えてもう1つ検出器に対し注意が必要になります。 このカラムを用いたハイスループット分析での移動相流量は約1.5mL/min程度と通常の分析流量ですが,得られるクロマトグラムのピークは非常にシャープですので検出器のセルはセミミクロ用を使用されることをお勧めします。 通常の分析セルでは図4に示すようにこのカラム本来のパフォーマンスの高さは発揮できません。

充てん剤の比較

図3.充てん剤の比較

検出器セルの効果

図4.検出器セルの効果

 最後に,低保持容量のもう1つのメリットとしてTFAを含む水・アセトニトリル系グラジエント分析でのベースライン変動の小ささを示した例を紹介します。 一般的な全多孔性シリカゲルを用いたカラムでは,TFAの影響により“グラジエントゴーストピーク”が現れてしまいます。 しかし,Shim-pack HT-ODSではカラム内に保持されるTFAの容量が少ないため,この影響をあまり受けません。 図5に,クロマトグラムの例を示しました。この特長は,コンビナトリアル合成での純度検定には非常に有効となります。
 最近話題のハイスループット分析,その特長をよく理解してお使いいただければ,これまでにないすばらしい分離結果が得られるかも知れません。 是非一度お試し下さい。

(Hw)

Shim-pack HT-ODSの有効性

図5.Shim-pack HT-ODSの有効性

<分析条件>
カラム: [上側a図]Shim-pack HT-ODS (30mmL.×4.6mmI.D.)
  [下側b図]Shim-pack VP-ODS (33mmL.×4.6mmI.D.(試作))
移動相: A:0.1%TFA/水 B:0.1%TFA/アセトニトリル
  [上側a図]1%B-90%B(1.5min.)
  [下側b図]1%B-95%B(4min.)
流 量: 1.5mL/min
温 度: 40℃
検 出: 215nm




補足キーワード:HPLC, 液体クロマトグラフ, クロマトグラフィー

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