i-Series Plus
液体クロマトグラフ
より使いやすく,より効果的に

Prominence(LC-20A)シリーズで培った技術を凝縮させたi-Series Plusは,高い基本性能に加えて使い勝手もさらに向上しました。温調可能範囲を拡大したカラムオーブンでは余裕を持った高温分析が可能になり,試料を希釈したり内標準物質を共注入するための自動前処理機能も全機種標準搭載しました。i-Series Plusは分析のスループット向上だけではなく,人による作業も自動化することで,作業の効率化を支援します。
高温分析でも安定したデータ採取が可能
i-Series Plusのカラムオーブンは最大設定温度が90℃です。
例えばマンニトールの分析では薬局方にて85℃温調での分析が記載されていますが,i-Series Plusはさらに300 mmのロングカラムも収納できるため,このようなロングカラムによる高温分析であっても,余裕で対応することが出来ます。
システム適合性 評価項目 |
対象成分 | 基準値 | 分析結果 |
保持時間 | Mannitol | 約20分 | 19.9分 |
Mannitolに対する相対保持時間 |
Isomalt (1)
Maltitol
Isomalt (2)
Sorbitol
|
約0.6
約0.69
約0.73
約1.2
|
0.69
0.74
0.77
1.2
|
分離度 | MannitolとSorbitol | 2.0以上 | 4.8 |
ピーク面積値の相対標準偏差 | Mannitol | 1.0 %以下 | 0.25 % |
自動前処理機能による作業効率の向上
i-Series Plusの自動前処理機能は,各動作に合わせたテンプレートに必要な項目を入力するだけで,試料の希釈,試薬の添加など,試料の前処理操作を自動で実行します。操作ミスをなくすとともに分析業務全体の効率化が図れます。
検量線の作成から未知試料の定量までを自動化する希釈機能
試料を特定の希釈率で希釈することが可能です。例えば標準試料の原液をオートサンプラにセットし,希望する希釈率のメソッドを指定するだけで検量線を自動作成することが出来ます。もちろん連続で未知試料の分析も行い,定量結果をレポート出力することも可能です。
さまざまな用途へ使える共注入機能
希釈液を共注入することでピーク形状の悪化を防ぐ
例えば試料溶媒が高濃度の有機溶媒のとき,注入量によっては試料溶媒の影響を受けてピーク形状が悪化する場合があります。そのような場合,試料と同時に希釈液を共注入することで,ピーク形状の悪化を防ぐことが可能です。以下の分析例では,移動相よりも有機溶媒濃度が高い試料を1 ~10 µL注入したときのピーク高さをグラフにプロットしています。
通常,注入量が増えると試料溶媒の影響によりピーク形状が悪化し,結果としてピーク高さが低くなりますが,共注入分析をすることにより,ピーク形状が大幅に改善されていることが分かります。
カラム :Shim-pack XR-ODS 75 mmL. × 3.0 mmI.D., 2.2 µm
移動相 :water / Methanol = 7 / 3 (v/v)
試料溶媒 :water / Methanol = 4 / 6 (v/v)
希釈液 :water
試料 :Caffeine(メタノール溶媒)
使用機器 :Nexera-i MT
試料と試薬を効率良く反応させることも可能(プレカラムアミノ酸分析への応用)
共注入機能を応用することで,サンプルループ内で試料と試薬を反応させることも出来ます。以下のクロマトグラムはアミノ酸のOPA/FMOC試薬によるプレラベル化反応について,本機能を用いて行った結果です。吸引した試料をすべて分析へ供することから,必要とする試薬や試料の量を最小限に抑えつつ,高感度な分析が可能です。

カラム :Raptor ARC-18 2.7 µL(Restek)
移動相A :20 mmol/L りん酸緩衝液
移動相B :アセトニトリル
流量 :0.8 mL/min
カラム温度 :30℃
検出 :蛍光
試料 :アミノ酸混合標準液(17成分)
試料注入量 :1 µL
使用装置 :Prominence-i
優れたベースライン安定性:TC-Opticsとフローセルの二重温度調節機能

i-Series Plusは,フローセルの温度調節機能に加え,検出器の光学系温度調節機能であるTC-Optics(Temperature Controlled Optics)を新たに採用しました。室温変化の影響を受けにくい安定したベースラインによる測定は,微量成分の確認試験や定量試験の精度を高めます。
幅広い濃度範囲での分析を支援:注入量再現性と直線性
i-Series Plusは,1 µL以下の微量注入量でも精度の高いデータを得ることができます。希釈操作なしに直接高濃度試料を注入でき,試料の前処理操作の手間を省きます。また優れた注入量直線性は,幅広い注入量領域でデータの信頼性を高めます。
注入量 | 面積再現性 (%RSD) |
0.5 | 0.121 |
1 |
0.076
|
5 | 0.020 |
10 | 0.006 |
50 | 0.006 |
100 | 0.006 |
高感度分析を支える極低キャリーオーバー性能

独自の流路設計と部品材質により,残存試料によるキャリーオーバーの影響を限りなくゼロにします。0.0025%に到達した極低キャリーオーバー性能は,複雑な試料の分析においても精度の高い定量性能を提供します 。
ラボ間でのデータ互換性を高める装置間再現性
i-Series Plusは,同一装置による確かな再現性能はもちろんのこと,装置間の優れた再現性でデータの信頼性を高めます。送液精度,濃度正確さ,試料の注入量正確さなど,最高のパフォーマンスを提供するi-Series Plusは,グローバルで活動するラボにおける業界標準です。
ピーク1 | ピーク2 | ピーク3 | ピーク4 | |||||
保持時間 | 面積値 | 保持時間 | 面積値 | 保持時間 | 面積値 | 保持時間 | 面積値 | |
装置1 | 0.031 | 0.032 | 0.057 | 0.065 | 0.049 | 0.032 | 0.055 | 0.022 |
装置2 | 0.044 | 0.027 | 0.068 | 0.018 | 0.064 | 0.052 | 0.053 | 0.037 |
装置3 | 0.054 | 0.062 | 0.056 | 0.035 | 0.055 | 0.022 | 0.043 | 0.040 |