2.1. 分析結果からわかること

注入された試料が,検出器に到達するまでの時間(リテンションタイム)は成分に特有の値です。
つまりある分析条件でのリテンションタイムを調べることで,その成分が何かということを調べることができます(定性分析)
また,成分のピークの大きさ,すなわち面積や高さからは,成分がどれだけ含まれているかを調べることができます(定量分析)

試料を注入してから成分が検出器に到達するまでの時間(リテンションタイム)

2.2. 定性分析

ある条件で分析した際,溶出にかかる時間は成分特有です。
つまり,同じ条件で同じ成分を分析した場合,同じ時間にピークを確認できます。

たとえば,成分Aと成分Bが入っていることが分かっている未知試料があったとします。
未知試料から得られるクロマトグラムはこのようになりますが,どれが成分Aでどれが成分Bのピークなのか分かりません。

未知試料(成分AとBを含む)

そこでAとBの標準試料を用意し,同じ条件で分析することで,AとBのリテンションタイムが分かります。
これらのクロマトグラムを比較することによって,未知試料の中のA及びBのピークを決定することができます。

同一条件で分析した時,同じ成分は必ず同じ時間に溶出
(リテンションタイム(保持時間)が等しい)

GCではリテンションタイムが唯一の定性情報
→定性分析には(基本的には)標準試料が必要

 

GCにおいてはリテンションタイムが唯一の定性情報です。
そのため、標準試料が用意できない場合,そのピークが何かということは決定できません。
従って,含まれている成分がある程度予想のつく試料の分析に向いているということが言えます。
何が含まれているか分からない試料を調べたい場合はGCMSといった質量分析計など,定性能力の高い分析手法を用いる必要があります。

さらに注意しなければならないこととして,ある分析条件でたまたま同じリテンションタイムをもつ成分が存在する可能性があることです。
つまり,一つのピークに見えても複数の成分が含まれている可能性があるということです。
この場合は,カラムを変える,温度条件を変更するなどによってクロスチェックを行う必要があります。

GCの分析では,ピークを完全分離することが非常に重要であると言えます。

2.3. 定量分析

GCのクロマトグラムにおいて,成分のピークの大きさ・面積は,検出器に到達した成分の量に比例します。

定量分析について,未知試料に含まれる成分Aの濃度を調べたいと仮定して,ご説明します。
まず,未知試料1ulを分析し,得られたクロマトグラムで成分Aのピークの面積が700カウントだったとします。
次に,成分Aの濃度が100ppmの標準試料を用意し,同じ条件で1ulを分析し,ピーク面積として1000カウントが得られたとします。
ピーク面積が成分の量に比例することから,100ppmで1000カウントであったので,700カウントだと70ppmであるということが分かります。
このように,定量分析においても標準試料が必要であるということが言えます。

成分のピーク面積(高さ)は,検出器に到達した成分の量に比例する
(※FPDのSモードは成分量の2乗に比例)

定量分析にも標準試料が必要