vol.9 中国におけるFTIR市場動向

FTIR TALK LETTER

2007年4月発行
Jianhua Song1)and Yuki Hashi2)

Shimadzu International Trading (Shanghai) Co., Limited (SSL),
1) Analytical Instrument Division, Marketing Department
2) Customer Support Center


(所属・役職は2007年8月発行時)

 近年、中国ではFTIRは主要な分析装置のひとつになっています。もちろんFTIRを使う主目的は有機化合物の定性分析です。中国における2006年度のFTIRの市場規模は、金額では2,500万ドル、販売台数では850台でした。過去5年間で、中国におけるFTIR市場は急速に賑わいをみせ、私達はさらに数年この拡大基調が続くことを期待しています。FTIR市場の成長に伴って、市場要求として明らかに、より複雑なアプリケーションの発展が必要とされるようになってきました。2006年度における島津製作所の市場区分をFig.1 に示しました。

Fig.1  FTIR segments in China in 2006
Fig.1 FTIR segments in China in 2006
 

 医薬品業界が最も大きな市場であり、続いて大学関係が大きな市場と言えます。市場区分で見られるように、中国において、医薬品業界は最も重要な産業と言えます。このようにして、医薬品の品質管理に多くのFTIRが売れています。医薬品業界においてFTIRを使用する主目的は医薬品や包装材の定性です。複雑な前処理を必要としないATRアクセサリがしばしば包装材を分析する際に使用されています。ATR付属装置を用いて包装材を測定した一例をFig.2 に示します。
 検索の結果、これらの包装材がポリプロピレン(赤色線)とポリウレタン(青色線)であることが分かりました。更に歴史的な背景として、中国市場においてFTIRは特有の応用分野に利用されています。それは中国漢方(TCM)の分析です。朝鮮人参のような漢方の主な成分は収穫年度、生産地などによって異なっています。それ故に漢方の定性は複雑になります。しかしながらFTIRスペクトルを測定すれば容易に定性可能となります。近年1103個のIRスペクトルが中華人民共和国薬典に掲載されました。イギリス薬局方や日本薬局方と比べても、非常に多くの物質が掲載されています。FTIRを使用して、漢方の原料や最終的な製品の定性が行なわれています。これが中国における市場区分の50%以上が医薬品業界で占められている主な理由です。
 さて、中国は「世界の工場」と呼ばれています。実際、非常に多くの電機電子メーカーが中国南部に工場を建設しています。これらの工場で生産される製品はヨーロッパやアメリカ、日本に輸出されています。製品の信頼性を改善するために、そしてRoHSのような幾つかの規制に従うために、有害物質のスクリーニングは大きな問題となります。スクリーニング分析は常に早急な定量情報を必要とします。FTIRは製品中の有害物質の存在に対する判断や情報を得ることも可能です。この点において、ここ数年、FTIRのアプリケーションで最もインパクトを与えたものとしてはRoHS規制でした。ポリブロモビフェニル(PBBs)やポリブロモジフェニルエーテル(PBDEs)のような臭素系難燃剤はRoHS規制の対象になりました。FTIRはプラスチック中の禁止化合物であるPBBsやPBDEsを定性するための効率的な方法の1つです。この点において、電機電子業界もFTIRの市場として急速に成長した業界の1つと言えるでしょう。 すべての業界の応用として、FTIRは不良解析に使われることも多いようです。不良解析の例として、Fig..3 にはATR付属装置を用いて測定した異物のスペクトルを示します。検索の結果、アクリルがヒットしました。

 異物に粘着性があることから、アクリル接着剤であると推測されます。極微小不良解析においては、顕微FTIRはより効果的です。 世界の工場として、中国におけるFTIR市場は医薬品業界や幾つかの材料科学の分野で着実に広がりをみせています。様々な要求を満たすためにはFTIRアクセサリを使用したアプリケーションは重要な役割を果たすでしょう。

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