FTIRのバリデーション(2):日本薬局方バリデーションプログラム

FTIRノウハウ・実務編

FTIR TALK LETTER vol.4(2005)

日本薬局方準拠バリデーションプログラムの内容

それでは,FTIR-8400S/IRPrestige-21で採用されているバリデーションプログラムを紹介します。検査する項目は,パワースペクトル,分解,波数精度,波数再現性,透過率再現性の5項目で,測定結果と規格値を比較することで装置の性能を検査します。

パワースペクトル
FTIRの最も基本的な性能評価はパワースペクトルの大きさで行なうことができます。指定された波数におけるパワースペクトルの大きさが規格値より大きいかを判定し,指定されたすべての波数で規格値を上回っていれば正常です。

分解
分解については,第十四改正日本薬局方第一追補およびEP2000において右のように記述されています。
それぞれの透過率の差を判定し,両方とも規格値を上回っていれば合格と判定されます

厚さ 約0.04mm のポリスチレン膜の吸収スペクトルを測定し,得られた吸収スペクトルの2870cm-1付近の極小と 2850cm-1付近の極大 における透過率(%)の差が18%以上であること,および,1589cm-1付近の極小 と1583cm-1付近の極大 における透過率(%)の差が 12%以上であること

波数精度
波数精度の性能評価について第十四改正日本薬局方第一追補およびEP2000には右のように記述されています。
このプログラムでは判定に用いる上記波数での,測定されたポリスチレンフィルムのスペクトルのピーク波数を求め,許容範囲に入っているかどうかを判定します。指定されたすべてのピーク波数が許容範囲に入っていれば合格と判定されます。

波数目盛りは,通例,ポリスチレン膜の下記の特性吸収波数(cm-1)のうち,いくつかを用いて補正する。 なお,( )内の数値はこれらの値の許容範囲を示す。
3060.0(±1.5)cm-1
2849.5(±1.5)cm-1
1942.9(±1.5)cm-1
1601.2(±1.0)cm-1
 1583.0(±1.0)cm-1
 1154.5(±1.0)cm-1
 1028.3(±1.0)cm-1

波数再現性
波数の再現性について,第十四改正日本薬局方第一追補には右のように記述されています。
このプログラムではピーク波数を3点指定し,各点での実際のピーク波数をポリスチレンフィルムの2回の測定において求め,それらの間の誤差が許容範囲内にあるかどうかで判定します。指定された波数のピーク波数がすべて許容範囲に入っていれば合格と判定されます。

透過率および波数の再現性は,ポリスチレン膜の3000〜1000cm-1における数点の吸収を2回繰り返し測定するとき,・・・,波数の差は3000cm-1付近で5cm-1以内,1000cm-1付近で1cm-1以内とする。

なお,EP2000では波数再現性は記載されていません。

透過率の再現性
透過率の再現性については,第十四改正日本薬局方第一追補およびEP2000において,下のように記述されています。

透過率および波数の再現性は,ポリスチレン膜の3000〜1000cm-1における数点の吸収を2回繰り返し測定するとき,透過率の差は0.5%以内とし,・・・とする。

このプログラムではピーク波数を3点指定し,各点での透過率を2回の測定において求め,それらの間の誤差が許容範囲内にあるかどうかで判定します。透過率の差が許容範囲にすべて入っていれば合格と判定されます。

プログラムの動作
日本薬局方対応のバリデーションプログラムは,FTIR-8400S/IRPrestige-21を制御するIRsolutionソフトウェアに標準で搭載されています。IRsolutionのメニューから選ぶだけで実行でき,画面に表示されるメッセージに従うだけで,操作ができます。ポリスチレンフィルムが搭載されている外部光束取り出しキットを使用すると全自動で検査ができます。
測定が終了すると,検査結果をまとめたレポートが自動的に印刷されます。

日本薬局方対応のバリデーションプログラム

検査に使用するポリスチレンフィルム
検査に使用するポリスチレンフィルムは,当社のFTIRに同梱されているものを使用することができます。しかし,トレーサビリティが必要な場合は,NIST(National Institute of Standards and Technology)の標準ポリスチレンフィルム SRM 1921a - Infrared Transmission Wavelength Standard (Polystyrene Film)をご使用ください。
SRM 1921a には,厚さ約38μm,直径25mmのポリスチレンフィルム が 5×11cmの紙製のホルダーに取り付けられています。

付属のCertificate(保証書)には,取扱方法や保管方法,有効期限などが記載されています。2004年12月の時点では,2008年12月31日まで有効なものが入手できるようです。 ポリスチレンフィルムを使わないときは付属のカバーをしてデシケーターに保管してください。また,ポリスチレンフィルム表面を触らないようにし,ほこりは乾燥したきれいな空気で吹き飛ばすようにしてください。当然ですが,ポリスチレンフィルムを傷つけてしまったり汚染したものは有効ではありません。

 ポリスチレンフィルムとしてNISTのSRM 1921aを推奨していますが,2005年6月27日現在NISTでの在庫がなく入手できない状況にあります。 そこでNISTトレーサブルなセカンダリースタンダードであるInternational Crystal Laboratories(ICL)製のNIST traceable Polystyrene Test film も推奨します。 本品は島津ジーエルシーで扱っております(定価38,100円)。




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