IRAffinity-1S

フーリエ変換赤外分光光度計

1. 塩化ビニル樹脂系接着剤の硬化過程の測定

高分子材料には,混合,加熱,光照射などにより組成が変化したり,分子構造が変化するものがあります。その変化は数秒で終わるものもあれば,数時間かけてゆっくり進行するものもあります。これらの組成や分子構造の解析にはFTIRが有用であり,ソフトウェアLabsolutions IR におけるタイムコース測定プログラムでは,その試料のピーク変化を経時的に追跡できます。
タイムコース測定プログラムにより,塩化ビニル樹脂系接着剤の硬化過程を測定した事例をご紹介します。

タイムコース測定プログラム

タイムコース測定の3D表示

今回の試料は,熱可塑性樹脂である酢酸ビニル- 塩化ビニル共重合樹脂を有機溶剤(アセトン,シクロヘキサノン等)に溶解した接着剤で,完全に硬化するまでに20 分程度かかります。
ダイヤモンドディスク上に試料を滴下した時間を0 秒とし,30 秒毎に1 回測定を行うよう設定し,1800 秒間(30 分間)測定しました。
ここでは2000 ~ 550 cm-1の領域を示します。3D グラフで表示されており,XY 軸は時間(sec)と波数(cm-1),Z 軸は吸光度(Absorbance)を示します。これにより,試料の反応過程を経時的に観察することができます。

2Dタイムコースデータによるピーク変化の解析

タイムコース測定では,測定の際,目的ピークの吸収の変化をグラフ(2Dタイムコースデータ)として表示することも可能です。
また,硬化反応率を計算して表示させることも可能です。硬化開始時を反応率0 % とし,30 分後を硬化反応の終わりとして,硬化反応率を計算しました。

各ピーク面積値の2Dタイムコースデータと塩化ビニル樹脂系接着剤の硬化反応率

緩やかに反応が進む試料の測定には,このタイムコース測定が有用であり,ピーク高さ,ピーク面積の他,反応率等の様々な解析に対応しています。

 

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2. 切削油剤中脂肪油分の定量

1回反射ATR法を利用して,JIS K 2241「切削油剤(追補1)」に沿った不水溶性切削油剤中の脂肪油分の測定例をご紹介します。この手法は切削油やそれら廃油の品質管理に有効です。

1回反射ATR法による脂肪油分の測定

まず,検量線を作成するため,JISの手順に沿って流動パラフィンをベースに, 市販のサラダ油を5.0,7.5,10.0,12.0,15.0 %(質量分率%)含有した濃度別標準試料油を調製しました。濃度別標準試料油をATRプリズム上に薄く塗布し,スペクトルを測定しました。

濃度別標準試料油の赤外スペクトル重ね描きと濃度別標準試料油の拡大図

プログラムを用いた定量

LabSoltions IR に標準収録されている定量測定プログラムを使用すると,簡単に検量線作成および未知試料の定量が行えます。
JIS K 2241 には「吸光度は,スペクトル中でピークトップ(1740 ~ 1750 cm-1でピークが最大のところ)とベースライン(1740~1750 cm-1の両側でベースが安定しているところ)との差を値とする」と規定されているので,1749 cm-1付近のピークと1712-1780 cm-1のベースラインによる補正ピーク高さを用いるよう設定して検量線を作成しました。相関係数0.9998 以上の良好な結果が得られています。
検量線の作成後,未知試料の定量を行いました。今回は市販の不水溶性切削油剤を分析し,脂肪油分は10.7 %と算出されました。

1回反射ATR法による標準試料中脂肪油分の検量線と未知試料のピーク

LabSoltions IR の定量測定プログラムを用いることで,検量線作成や保存,未知試料の定量を簡単に行うことができます。切削油剤中の脂肪油分の定量の他にも,様々な定量に活用していただけます。
なお,切削油剤の脂肪油分試験についての詳細はJIS K2241「切削油剤(追補1)」をご参照ください。

   本ページでご紹介したアプリケーションデータは,会員制サイト Solutions Navigator にも掲載されています。
   A455 「FTIRによる塩化ビニル樹脂系接着剤のタイムコース測定」
   A468 「1回反射ATR法を用いた切削油剤中脂肪油分の定量 −JIS K 2241 に沿った脂肪油分試験−」

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