戦後~ 画期的な新型天びん“直示天びん”の誕生

戦後~ 画期的な新型天びん“直示天びん”の誕生

戦後になって画期的な方式の新形天びんが誕生しました。“直示天びん”です。島津が命名したこの名称が計量法のなかでも採用されているほど、この方式の出現は日本の天びんの発展にとって画期的なものでした。

従来の化学天びんは、片側に試料を載せ、もう片側に分銅をピンセットで載せていき質量を測定していましたが、この天びんは全く異なりました。ダイヤルを操作し、ダイヤルの数字と、投影目盛を読み取るだけで、質量を知ることができます。「測定時間はわずか1分以内」というのが当時のキャッチコピーで、今まで何分もかかっていた測定時間が一挙に約1/3以下に短縮できたのです。

価格は化学天びんの約3倍の20万円(S.32頃)したので大学などでは専ら教授や助手が主体で使用し、一般の学生はなかなか触らせてもらえない超高級品でした。ところが、一度使用すればもう昔の化学天びんは使う気になれないと感じるほどの便利さから、直示天びんはどんどん普及してゆきました。

直示天びんNL-200TPA形

直示天びん
NL-200TPA形

上ざら直示天びん UL-1200DT形

上ざら直示天びん
LU-1200DT形

その後、全桁をディジタル表示できるようにした機種、風袋消去機能を盛り込んだ機種、直示の微量天びん、上ざら天びんや、機械式の自動天びんなども開発してゆきました。直示天びんは“LIBROR”(てんびん座の意味)という愛称のもと基準天びんとして多くのユーザに最近までお使いいただいていました。