バルサルタン中NDMAの分析/GCMS

医薬品であるバルサルタンは,高血圧およびうっ血性心不全の治療に使用されています。2018年7月,アメリカ食品医薬品局(FDA)は中国製薬会社の製品に発がん性不純物のN―ニトロソジメチルアミン(NDMA)が含まれている可能性があるため,バルサルタン錠剤のリコールを発表しました。NDMAは発がんリスクはグループ2A(ヒトに対する発がん性の可能性)に分類されており,欧州,韓国,台湾および日本ではバルサルタン医薬品の自主回収が進められています。NDMAは原薬の製造工程の結果として最終製品に導入されたと考えられています。
FDAはバルサルタン中NDMAを検出する手法として,ヘッドスペースガスサンプラーとガスクロマトグラフィー質量分析計(GC-MS)による分析法を通知しています。(https://www.fda.gov/downloads/Drugs/DrugSafety/UCM618053.pdf

ヘッドスペースGC-MSによるバルサルタン中NDMAの分析

HS-20とGCMS-QP2020 NXを組み合わせてバルサルタン中のNDMAを分析した結果をご紹介します。

バルサルタン(500 mg)をDMSOで溶解した標準溶液にN―ニトロソジメチルアミン(NDMA)を添加し,GCMS-QP2020 NXで測定したクロマトグラムを下記に示します(青:0.2 μg/mLを添加,ピンク:2.0 μg/mLを添加)。
ヘッドスペース(HS-20)とGCMS-QP2020 NXを組み合わせることにより,夾雑成分の影響を受けることなくNDMAを高感度に検出することが示唆されました。

GC-MS SIMモード

分析条件

FDAが公示しているバルサルタン中N―ニトロソジメチルアミン(NDMA)分析法に倣った分析条件を下記に示します。

ヘッドスペースガスサンプラー :HS-20
オーブン温度 :120℃
サンプルライン温度 :125℃
トランスファーライン温度 :130℃
バイアル加圧用ガス圧力 :100kPa
バイアル保温時間 :15分
バイアル加圧時間 :1分
加圧平衡化時間 :0.10分
注入時間 :1分
ニードルフラッシュ時間 :1分
サンプル注入量 :1 mL
GCカラム Stabilwax
 (30 m×0.25 mm×I.D,0.25 μm)
キャリアガス :He
制御モード :圧力
注入方法 :スプリット
スプリット比 :5
オーブン温度 :70℃(4分)→20℃/分→240℃(3.5分)
MS(EI法)イオン源温度 :200℃
インターフェース温度 :230℃
チューニングモード :標準
測定モード :SIM(m/z 74.0)
イベント時間 :0.30秒

直線性

0.15~100 μg/mLにおけるN―ニトロソジメチルアミン(NDMA)の検量線を示します。寄与率(R2)=0.999と良好な直線性が得られました。

再現性

N―ニトロソジメチルアミン(NDMA 0.15 μg/mL)を繰り返5回注入した際のピーク面積値の再現性結果を示します。NDMA分析で必要とされる低濃度領域において良好な再現性が得られます。

1st 2nd 3rd 4th 5th %RSD
11,996 10,669 10,710 10,665 10,714 5.340

GCMS-QP2020 NX

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さまざまな分野で利用されるGC-MSは,今や分析の汎用機となっています。その中で,装置の更なるコストパフォーマンスの向上と利用するユーザーのワークライフバランスが期待されています。
GCMS-QP2020 NXは,分析のあらゆる場面に対しての効率化を提案し,ラボの可能性を最大限に拡げます。

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