PIC/S対応 原材料の確認試験 (ラマン、FTIR)

PIC/S対応 原材料の確認試験(ラマン,FTIR)

ラマン分光法と近赤外分光法(NIR)を用いた試料の測定事例をご紹介します。これらの手法は,容易な操作で分析できるため,PIC/S GMP※1,2ガイドラインで要求される原材料の全数受入検査の他,入荷原材料の検証および識別,中間製品及び最終製品検査,偽造薬物検出などで注目されています。

 無機化合物の例として酸化チタン(TiO 2アナターゼ型) ,有機化合物の例として乳糖1水和物を測定しました。測定結果を図1に示します。
いずれもラマン分光法では鋭いピークが得られますが,近赤外分光法では幅広いピークとなりピーク形状が大きく異なることがわかります。
ラマン分光測定には米国のEnwave Optronics社製携帯型ラマン受入原料合否判定装置ASSU℞(アシューレクス)を用いました。

図 1 無機化合物の分析(TiO2アナターゼ型と乳糖1水和物)

受入検査に用いる場合,近赤外分光法はなだらかなスペクトルの中からピークを選び,その微妙な差を基に判別するため,導入時のメソッド作成に手間がかかります。一方,ラマン分光法の場合はスペクトルが明瞭なため特別なメソッド作成は必要ありません。スペクトルの視認による判別は,ラマン分光法の方が有利であると言えます。それ以外にもそれぞれの手法で一長一短がありますので,実際の測定においては,これらを考慮して,試料に適した検査方法を選択する必要があります。(詳しくはFTIR TALK LETTER Vol.20をご覧ください。)

※1 GMP
Good Manufacturing Practiceの略称です。「医薬品,医薬部外品の製造管理・品質管理の基準」のことで,安全性や信頼性を確保することを目的に政府等の公的機関で制定する基準のひとつです。GMP省令等により,医薬品,医薬部外品の製造等に係る適合性確認の基準やその製造業者等に対する遵守事項が示されています。

※2 PIC/S
医薬品査察協定(Pharmaceutical Inspection Convention)と医薬品査察共同機構(Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme)の略称です。現在,欧州を中心とした41ヶ国(2013年1月現在)が加盟しています。PIC/Sは,医薬品のGMP査察業務に関し,国際的に調和の取れた基準や品質システムを考案し,これを継続実行することを目的としています。活動の一環として「PIC/S GMPガイドライン」が発行されています。

⇒(関連情報) 携帯型ラマン受入原料合否判定装置ASSU℞を用いたPIC/S 医薬品原料の受入検査への応用事例,赤外分光法との比較記事

携帯型ラマン受入原料合否判定装置ASSU℞

携帯型ラマン受入原料合否判定装置 ASSU℞

ASSU℞は小型で軽量の携帯型装置のため,全数検査等を効率的に行えます。また,あらかじめライブラリを作成しておき,目的試料のラマンスペクトルを測定すれば,簡単に合否判定できます。測定と合否判定に必要な時間はわずか数秒から数十秒です。さらに,プラスチック袋やガラス容器など,レーザー光を通す容器内の試料であれば開封せずに測定することができます。

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