リトドリン注射剤中の未知不純物の分析例/Co-Sense LCMS-IT-TOF
リトドリン注射剤中の未知不純物の分析例/Co-Sense LCMS-IT-TOF
後発医薬品では、厚生労働省の“後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム”に基づき「ジェネリック医薬品の品質情報に関する検討会」が発足し、後発医薬品製剤中の不純物のプロファイリングが進められています。これにより、各社の後発医薬品について日本薬局方に規定された分析条件で検出される不純物の構造解析が進められています。微量不純物の構造解析にはLCMS-IT-TOFが有用ですが、薬局方では不揮発性緩衝液やイオンペア試薬が使用される分析条件も多くあります。
Co-Sense LCMS-IT-TOFシステムはこのようなLCMSに不向きな分離条件でも質量分析計による構造解析を可能とするシステムです。
-Co-Sense LCMS-IT-TOFシステムの原理-
Co-Sense LCMS-IT-TOFのフロントエンドLC部分は、2つの送液系をもつLCシステムで構成されており、5段階のステップで試料の前処理と分析を行います。まず薬局方に準拠した分析条件にて試料を測定し、未知不純物のピークを試料ループに分画します。次に分画した不純物試料をトラッピングカラムに導入しながら脱塩、濃縮処理を行い、最後に脱塩処理した試料を流路切替バルブによりオンラインでLCMS-IT-TOFに導入して不純物ピークの構造解析を行います。
■リトドリン注射剤中の未知不純物の分析例です。
オンラインでの脱塩や2次元目でのイオンペア試薬との分離により、日本薬局方での分離条件により検出された未知不純物の精密質量測定およびMS2測定による構造解析ができます。
保持時間が10分付近のピークがリトドリンとリトドリンのトレオ体です。不純物解析に用いた成分は、22.5分付近に溶出する成分です。
LCタイムプログラムにより試料ループ(5μL)に未知不純物成分を導入しました。2次元目のカラムにより、分画した不純物ピーク(クロマトグラム:ピンク色)とイオンペア試薬(クロマトグラム:黒色)を分離しました。イオンペア試薬の溶出前に流路バルブを切り換えることで、LCMS-IT-TOF側に不揮発性物質を導入せずに分析することが可能となります。
また得られたプロダクトイオンのスペクトルから、各フラグメントイオンの構造解析を行い、不純物の構造を推定することができます。