G/D比による純度評価

カーボンナノチューブのラマンスペクトルには、1590cm-1付近にグラファイト構造に由来のG-bandと1350cm-1付近に欠陥由来のD-bandのピークが現れます。これらのピーク比を用いてナノチューブの結晶性の純度や欠陥濃度を評価することが可能です。

下記は、4種のカーボンナノチューブのラマンスペクトルです。G-bandとD-bandのピーク比に違いが認められます。
ラマンでは、G-band,D-bandの比からアモルファス成分、あるいは欠陥の量を評価できます。

上段は 市販の多層ナノチューブ(MWNT)で 製法が異なるものです。D-bandピークが小さい方が純度が高いことを示します。

下段は 弊社の基盤研究所提供(CO2 固定化技術利用)のカーボンナノファイバー(CNF)で、終端基の影響でD-bandピークが大きいと考えられます。

D-bandピークが大きい試料は、熱重量データによる純度測定でも燃焼温度が低く、不純物の多さを示唆しました。

 

ラマン

ラマン分光光度計

レーザー光を試料に照射し、試料からのラマン散乱光を受光してラマンスペクトルを求めます。ラマンスペクトルは分子の振動に基づくもので、ラマンスペクトルから物質の定性や構造に関する知見が得られます。