質量分析法による合成タンパク質のN末端修飾の解析

質量分析法による合成タンパク質のN末端修飾の解析

近年、タンパク質翻訳後修飾解析の重要性が高まっています。アミノ酸配列からどのような修飾が生じるかは、ある程度予測できますが、実際には実験を行い証明する必要があります。
これらの修飾を簡便に解析する方法として、無細胞タンパク質合成試薬キットTransdirectinsect cellとMALDI-TOF型質量分析装置を組合わせた手法をご紹介します。

N- ミリストイル化の解析例:N- ミリストイル化は、開始メチオニンの脱離が生じた後、新たに露出したN 末端のグリシン残基に炭素数14 からなる飽和脂肪酸が転移される修飾反応です。この修飾は、細胞情報伝達に関わるタンパク質に多く認められており、膜への結合、タンパク質- タンパク質相互作用において、非常に重要な役割を担うことが報告されています。N-ミリストイル化が生じることが知られているtGelsolinをモデルタンパク質として解析を行いました。

■実験フロー

■結果
翻訳反応液に基質となるミリストイルCoAを添加することで、N-ミリストイル化が生じたと考えられるm/z1926.2 のペプチドフラグメントが検出されました(図1)。MS/MS 解析を行ったところ、本ピークはミリストイル基を含むN末端のペプチドフラグメントであることが同定されました(図2)。
同様の手法により、N-アセチル化、開始メチオニン脱離も解析することが可能です。

以上より、TransdirectがN末端に生じる代表的なタンパク質修飾を生じさせる能力があること、さらに質量分析装置と組合わせた本手法が、これらN 末端修飾を解析する強力なツールとなることがわかります。

*山口大学大学院医学系研究科教授内海俊彦先生との共同研究による成果です。
 

無細胞タンパク質合成キット

昆虫培養細胞由来の新しい無細胞タンパク質合成試薬キットです。ウサギ網状赤血球由来のシステムと比較して、高いタンパク質合成能を有しています。また、キットには至適化されたバッファと発現ベクターを添付しますので、最適なタンパク質合成実験を手軽に行なっていただけます。

レーザーイオン化四重極イオントラップ飛行時間型質量分析装置

AXIMA Resonance は,プロテオミクス・糖鎖解析などを強力にサポートするMALDI-QIT-TOFMS装置です。
四重極イオントラップ(QIT)を装備し,MALDIによって,生成されたイオンをfmolオーダーでMSn乗測定します。
これらの特長により,分子量だけでなく構造情報を入手することができ,プロテオミクス研究をはじめとする生化学・薬学・医学・合成化学・有機化合物構造解析に幅広く対応します。

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