質量分析法による合成タンパク質のプレニル化の解析

質量分析法による合成タンパク質のプレニル化の解析

近年,タンパク質翻訳後修飾解析の重要性が高まっています。 タンパク質プレニル化はC末端の脂質修飾で,Rasなどの低分子量GTP結合型タンパク質に多く認められ,タンパク質-膜またはタンパク質-タンパク質相互作用に重要な役割を果たすことが知られています。
無細胞タンパク質合成試薬キットTransdirectとMALDI-TOF型質量分析装置を組合わせることで,効果的にタンパク質プレニル化を解析する手法をご紹介します。

タンパク質プレニル化:プレニル転移酵素によって炭素数15 (ファルネシル基) または20(ゲラニルゲラニル基)のイソプレノイドがC末端近傍のシステイン残基に転移されます(下図参照)。
ファルネシルトランスフェラーゼ(FTase)またはゲラニルゲラニルトランスフェラーゼI(GGTaseI)がC末端の-Cys-Ali-Ali-COOH(Aliは脂肪族アミノ酸)モチーフを認識し、それぞれファルネシル基またはゲラニルゲラニル基を各々のプレニルピロリン酸を供与体としてシステイン残基に転移します。今回はゲラニルゲラニル化が生じることが知られているヒト由来RhoC(シグナル伝達に関与)をモデルタンパク質として解析を行いました。


■実験フロー

■結果
プレニルピロリン酸添加無し:カルバミドメチル化されたC末端ペプチド断片のみが検出されました。
FPP添加:一部ファルネシル化が生じたと考えられるm/z1174.75のペプチドが検出されました。
GGPP添加(基質共存化も含む):ゲラニルゲラニル化が生じたと考えられるm/z1242.83のペプチドが検出されました。

以上よりTransdirectがタンパク質プレニル化に必要な活性のあるプレニル転移酵素を保持していること、さらに質量分析装置と組合わせた本手法が、プレニル化を解析する強力なツールとなることがわかります。

Trasndirect insect cell

無細胞タンパク質合成キット

昆虫培養細胞由来の新しい無細胞タンパク質合成試薬キットです。ウサギ網状赤血球由来のシステムと比較して,高いタンパク質合成能を有しています。また,キットには至適化されたバッファと発現ベクターを添付しますので,最適なタンパク質合成実験を手軽に行なっていただけます。

AXIMA Resonance

レーザーイオン化四重極イオントラップ飛行時間型質量分析装置

AXIMA Resonance は,プロテオミクス・糖鎖解析などを強力にサポートするMALDI-QIT-TOFMS装置です。
四重極イオントラップ(QIT)を装備し,MALDIによって,生成されたイオンをfmolオーダーでMSn乗測定します。
これらの特長により,分子量だけでなく構造情報を入手することができ,プロテオミクス研究をはじめとする生化学・薬学・医学・合成化学・有機化合物構造解析に幅広く対応します。

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