糖ペプチドの分析例

糖ペプチドの分析例

糖タンパク質の糖鎖は,細胞間のシグナル伝達や分子認識など,生命現象に重要な役割を果たしています。 近年,質量分析による糖鎖構造解析が盛んに行われています。
糖ペプチド(M5GP:タカアミラーゼのサーモライシンによる消化物から精製)を,レーザーイオン化四重極イオントラップ飛行時間型質量分析装置で分析した例について示します。

分子イオンピーク[M+Na](m/z557.6)をプリカーサイオンとし,MS/MSを行いました。ペプチド結合あるいはグリコシド結合の開裂に由来するピークに加え,O,2A5イオンと予想されるピーク(m/z1156.4)を観測しました。Aタイプのフラグメンテーションは,cross-ring cleavageと呼ばれ,糖鎖の質量分析においてしばしば観測されます。

レーザーイオン化四重極イオントラップ飛行時間型質量分析装置はMSnが可能です。 ここで,MS/MS,MS/MS/MS(MS3),…を行うことにより,糖鎖のシークエンス情報が得られます。 さらに,MS3で得られるフラグメント情報から,MS/MSでのプロダクトイオン(MS3でのプリカーサイオン)の帰属が正しいかどうか確認することが出来ます。
 例として,MS/MSで観測されたm/z1156.4とm/z1036.4をプリカーサイオンとして得られたMS3スペクトルを示しました。m/z1156.4のMS3スペクトルでは,M-60(C2H4O2)というO,2Aイオン特有のフラグメントを観測しました。m/z1036.4のMS3スペクトルでは,B3イオンやC3イオンなどのグリコシド結合の開裂によるフラグメントに加え,3,5Aタイプのcross-ring cleavageが観測されました。
下記のM5GP構造式に,MS3でのプリカーサイオン(O,2A5とB4)を破線で,MS3で観測されたプロダクトイオンを点線で示しました。

AXIMA Resonance

レーザーイオン化四重極イオントラップ飛行時間型質量分析装置

AXIMA Resonance は,プロテオミクス・糖鎖解析などを強力にサポートするMALDI-QIT-TOFMS装置です。
四重極イオントラップ(QIT)を装備し,MALDIによって,生成されたイオンをfmolオーダーでMSn乗測定します。
これらの特長により,分子量だけでなく構造情報を入手することができ,プロテオミクス研究をはじめとする生化学・薬学・医学・合成化学・有機化合物構造解析に幅広く対応します。

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