肺組織におけるナノ粒子とリン脂質の分布の観察

酸化亜鉛(ZnO)や酸化セリウム(CeO2)などのナノ粒子は,触媒や研磨剤,塗料,化粧品など幅広い用途で使用されています。一方,ナノ粒子を吸引することによってリン脂質症や肺タンパク症などの肺疾患により,人体への影響をおよぼす懸念があります。​肺胞には気液界面の表面張力を低下させて呼吸をスムーズにする肺表面活性物質が分布しています。肺表面活性物質はリン脂質や中性脂肪を含んだ物質で,肺胞内に一定量分布していますが,その量が増加することによって引き起こす疾患があります。
以下に,レーザーアブレーション装置を組み合わせたICP-MS(以下,LA-ICP-MS)で,肺組織内のナノ粒子(Zn)とリン脂質を含む肺表面活性物質(P)の分布を観察しました。

 

酸化亜鉛ナノ粒子暴露ラット肺切片のイメージング​
(上:コントロールラット、下:酸化亜鉛ナノ粒子暴露ラット)

LA-ICPMSでは肺組織中のZnと,肺表面活性物質由来のリンの分布を観察できました。​ZnOナノ粒子暴露ラットと比較し,コントロールラットの肺組織のZnの分布が均一であることがわかります。一方,リンの分布はどちらの肺組織においても大きな差はみられませんでした。

 
 

ICP質量分析装置(ICP-MS)

優れた感度を備えつつ,分析に必要なアルゴンガスの流量を抑えており,低ランニングコストで運用可能です。さらに,自動化機能を備えたソフトウェアにより,データの信頼性も向上させることができます。

 

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