Tm 解析システムTMSPC™-8 による 核酸医薬品の熱安定性解析

UV-1900i とTm 解析システム(TMSPC-8)

近年、核酸医薬品をはじめとした機能性核酸が注目されています。この機能性核酸の開発や評価を行う上で、構造や機能を支配する因子である熱安定性を把握することは重要です。また、PCR やDNA マイクロアレイなど核酸のハイブリダイゼーションに基づく手法においても熱安定性解析が不可欠となっています。今回、紫外可視分光光度計UV-1900i とTm 解析システム(TMSPC-8)を用いて核酸の熱安定性解析(Tm 解析)を行いました。本システムを用いることにより、核酸のTm 値を簡便に算出できます。

核酸の融解曲線図 1 核酸の融解曲線

核酸の熱的挙動

核酸(DNA、RNA)は二重鎖らせん構造をとりますが、温度を上昇させると、水素結合が切断され、次第に二重鎖は解離し、一本鎖の構造になります。この現象を核酸の融解と呼び、二重鎖と一本鎖の占める割合が等しくなる温度を融解温度(Melting Temperature; Tm)と定義します。Tm 値は核酸の熱安定性を示す指標となり、塩基配列や核酸濃度、ミスマッチ(非相補的塩基対)などに依存します。核酸は260 nm 付近に紫外吸収ピークを持ち、融解の際には吸光度が増加することが知られています(図1)。分光光度計のTm 解析システムでは、この吸光度変化を測定し、Tm値を決定します。

 
図 3 専用 8 連セル(光路長 10 mm)

TMSPC-8 による核酸のTm 解析

図2 にUV-1900i とTm 解析システム(TMSPC-8)の外観を示します。本システムは8 連電子冷熱式セルホルダ、専用8 連セル(光路長10 mm、1 mm)、温度コントローラ、Tm解析ソフトウェアから構成されており、同時に最大8 サンプルの測定が可能です。
今回、核酸の一種であるM13-25mer をサンプルとして用 いました。前処理として、サンプル溶液の脱気を行いました。(サン プル溶液に空気が溶存すると高温時に気泡を生じ、正確な測 定ができません。)また、センス鎖とアンチセンス鎖の間に 完全に二重鎖を形成させるためのアニーリングを行う必要 があります。今回は95 ℃で10 分以上温度を保持してから、 2℃/分の速度で温度を下げ、アニーリングしました。 専用8 連セルは光路長が10 mm と1 mm の2 種類あり、サンプルの吸光度(濃度)に応じて選択が可能です。今回は 260 nm における吸光度が0.5~1 となるようにサンプルを調 製し、光路長10 mm のセルを使用しました(図3)。

Tm 測定により得られた融解曲線(温度に対して260 nmにおける吸光度をプロットした曲線)を図4 に示します。昇温時と降温時の両方の結果を示しています。図4 より、温度上昇に伴い吸光度が大きくなっていることがわかります。また、融解曲線は温度が低い順に前遷移領域、遷移領域、後遷移領域の3 つの領域にわけることができます。前遷移領域、後遷移領域ではそれぞれ二重鎖、一本鎖が過剰に存在しています。

サンプルの融解曲線

図 4 サンプルの融解曲線

 

Tm 値は中線法と微分法の2 種類の計算方法で算出しました。両者の解析により得られたTm 値の結果を表1 に示します。昇温時と降温時で、それぞれ同等の結果が得られました。

表 1 Tm 解析の結果

 
計算方法 Tm 値(℃)
昇温  降温
中線法 63.58 63.56
微分法 63.68 64.10

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