品種判別にも使われる定性PCR法とは

品種判別にも使われる定性PCR法とは

品種判別にも使われる定性PCR法とは

食品の偽装表示,育種者権の侵害を防止するためには,食品表示の正しさを検証あるいは品種判別を行う技術が不可欠です。これらに対応する検証方法は,操作が簡単,迅速,普遍的な結果が得られるといった要件を満たさなければなりません。
PCR(Polymerase Chain Reaction)をベースにしたDNA分析(定性PCR法)による品種判別はこれらの要件を満たし,広く普及している方法です。
全ての生物とっての遺伝子情報,DNAの4種類の塩基(A,C,G,T)の配列は同じ食品では,殆ど同じですが,極僅かに異なる部分があります。定性PCRではその差を検出できます。

任意のDNA領域を増幅するPCR

わずかな差を検出するためには,DNAの一部を増幅する必要があります。その方法がPCR(Polymerase Chain Reaction)です。試料となるDNAを鋳型として,DNAのある一部分だけを選択的に増幅させます。増幅したい領域の両端と配列特異的な短い1本鎖DNA(プライマー)とDNA合成酵素(DNAポリメラーゼ)を用いて,サイクル反応(DNA二本鎖の解離→プライマーの結合→DNA合成反応)を繰り返し行うことにより任意のDNA領域を増幅する方法です。原理的にはDNAが1分子でもあれば反応サイクルの乗数だけDNAが増えます。プライマーを挟む領域の増幅の有無を利用して目的物の有無が判断できます。

定性PCR法による品種判別の手順

定性PCR法による品種判別の手順は,以下の通りです。
(1) 食品からDNAを抽出。
(2) 抽出DNAを鋳型としてプライマーで特定の領域を選択的にPCR増幅。
(3) PCR産物を電気泳動分析。PCR-RFLP法ではPCRの後に制限酵素処理を行い,処理断片の電気泳動分析を行う。
(4) 分析結果から出現パターンを求め,判別用パターンと照合することにより品種判別。(例:マグロ白いんげん食肉

PCR反応を成功させるには,(1)でDNAを抽出したあと,紫外分光光度計により抽出DNAの濃度確認,OD比(OD260/280,タンパク質の混入確認)やOD比(OD260/230,フェノール,糖など有機物の存在確認)による純度チェックを行うことが望ましいです。

また,(3)の電気泳動分析には,アガロースゲル電気泳動やマイクチップ電気泳動が用いられます。アガロースゲル電気泳動は,PCR産物の有無やサイズの確認はできますが,手作業であるため再現性が得られにくいことや,画像により判断するため結果が数値として残らないといった課題があります。最近は,操作の自動化,データの数値化を実現したマイクロチップ電気泳動が主流になってきています。

定性PCR法による品種判別は多くの食品の品種判別に採用されています。農林水産消費安全技術センターなどの公的な研究機関から産地,品種判別のための種々のマニュアルが公開されています。

DNA/RNA分析用マイクロチップ電気泳動装置

DNA/RNA分析用マイクロチップ電気泳動装置

マイクロチップを用いた電気泳動法により,DNAやRNAのサンプルを大きさによって分離し,DNAやRNAの核酸サンプルのサイズ(大きさ)確認やおおまかな定量を行います。マイクロチップを用いることによって電気泳動分離を高速に,蛍光検出により高感度に,しかも全自動で分析することができる電気泳動装置です。


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