内部発生ガス量の確認/GC

内部発生ガス量の確認/GC

リチウムイオン電池(LIB)やリチウムイオンキャパシタ(LIC)内部の発生ガス量は,その劣化に伴って変化します。サンプルからガスを抜き取って測定するとガスの組成は求められますが,ガスの発生量までは分かりません。
発生ガスの組成比だけでなく発生量そのものを求めることで,劣化反応に関するより詳細な情報を得ることができます。
下記のようなシステムを用いて,発生ガス量の測定を試みました。

Fig.1 樹脂製サンプルバックを用いたサンプリングシステムの一例



※ポンプを用いてバック内部ガスを吸引
※フローコントローラーで一定量の
 ヘリウムガス(不活性ガス)を供給

手順

  1. サンプルをバック内部に封入し,ヘリウムでバック内部のガスを置換します。
  2. 一定体積のヘリウムを封入し,サンプルを開封します。サンプルの開封はリーク弁など構造的に弱い部分に,バック内部に同封した小型工具などを利用して穴を空けて行います。(サンプル内部の発生ガスがバック内部に拡散して希釈されます。)
  3. 2.で希釈されたサンプルを測定します。
  4. 得られた測定値から,下記の計算式を用いておおよその発生ガス量を求めます。
     「各成分の定量値(濃度)× サンプルバック内部のガス体積(ヘリウム充填量で近似)」

樹脂製サンプルバックを用いたサンプリングシステムによる測定例

Fig.1のシステムを用いて,模擬試料ガスを測定しました(Fig.2)。サンプルバック内部の空気をできるだけ取り除いた後(残留する空気成分を50 ppm程度までにヘリウムで置換)に,100倍希釈を想定した模擬試料を封入し,サンプル注入ラインから1 mLの試料ガスをGCに注入しました。

Fig.2  樹脂製サンプルバックを用いたサンプリングシステムによる測定例(模擬試料)

Fig.2 樹脂製サンプルバックを用いたサンプリングシステムによる測定例

分析条件

カラム : 信和化工製 MICROPACKED ST (1mmI.D., 2m)
カラム温度 : 35℃(2.5min) -20℃/min -250℃(0min) -15℃/min -270℃(3.42min)
キャリアガス制御 : 圧力
圧力プログラム : 226.5kPa(2.5min) -15kPa/min -400kPa(3.93min) (He)
注入モード : スプリット(1:10)
注入口温度 : 150℃
検出器温度 : 280℃
放電ガス流量 : 70mL/min.
サンプル注入量 : 50μL
Fig.3  発生ガス量の試算結果 (合計 約450μL)

Fig.3 発生ガス量の試算結果 (合計 約450μL)




今回の測定結果から発生ガス量を試算したところ,合計 約450 μL(0.45 mL)のガスが発生していると算出できました。
サンプルバック内に100 mL以上の希釈サンプルがあれば, 本システムでおおよその発生ガス量を求めることが可能です。

※実サンプル測定時には製造時の雰囲気ガスを考慮する必要があります。


関連データ
 劣化に伴う発生ガスの組成変化確認/GC
 

高感度ガスクロマトグラフシステム

BID検出器を搭載した高感度ガスクロマトグラフです。BIDは,誘電体バリア放電プラズマによるイオン化法を用いた汎用型検出器であり,「高感度」,「あらゆる成分を検出」,「長期安定性」を特長としています。

※一種類のカラムで分析できない成分に関しては,カラムを変更して測定する必要があります。
 

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