“塩化ビニル樹脂系接着剤”の反応解析 / FTIR

“塩化ビニル樹脂系接着剤”の反応解析 / FTIR

はじめに

材料の開発には,様々な化学反応を解析し,制御することが求められています。この時,FTIRを用いて,一定間隔でスペクトルを取得し,任意の波数のピーク変化やスペクトルを3D表示することで反応解析を容易にします。
塩化ビニル樹脂系接着剤は,熱可塑性樹脂である酢酸ビニル- 塩化ビニル共重合樹脂を有機溶剤(アセトン,シクロヘキサノン等)に溶解した接着剤で,塩化ビニルパイプ等の接着に使用されているものです。有機溶剤が揮発することで硬化し,完全に硬化するまでに20分程度かかります。 

ダイヤモンドディスク上に試料を滴下した時間を0秒とし,30秒毎に1回測定を行うよう設定し,1800秒間(30分間)測定しました。

測定開始直後0秒~1800秒(30分)後の2000~550cm-1の範囲の赤外スペクトルの3Dグラフを示します。

測定開始直後(0 秒),300秒(5分)後,(900秒(15分)後,1800秒(30分)後の2000~550cm-1の範囲の ATRスペクトル重ね書き拡大図を示します。

経過時間に伴っていくつかのピーク強度に変化が見られます。
1708cm-1,1357cm-1,1219cm-1付近のスペクトル強度が減少し,692cm-1,609cm-1付近のスペクトル強度が増加していることがわかります。

塩化ビニル樹脂系接着剤の硬化反応率

塩化ビニル樹脂系接着剤の硬化反応率

時間軸に対する反応率

609 cm-1付近のC-Cl 伸縮振動のピーク面積値を用いて測定開始時を反応率0%とし,30分後を硬化反応の終わりとして,硬化反応率を計算しました。

硬化反応に伴って増加する609 cm-1付近のC-Cl伸縮振動のピーク面積をAtとし,未硬化物(0分)の609 cm-1付近におけるピーク面積をA0,硬化物(30分)の609 cm-1付近におけるピーク面積をA30とした場合,硬化の反応率X(%)は以下の計算式により求められます。

         X(%)=(At-A0)/(A30-A0)×100

IRTracer-100 フーリエ変換赤外分光光度計

IRTracer-100 フーリエ変換赤外分光光度計

IRTracer-100
フーリエ変換赤外分光光度計

IRTracer-100は,干渉計や検出器の性能を向上させSN比 60,000:1というクラス最高の高感度を実現すると共に,高速な反応追跡を実現しました。操作性を向上させた LabSolutions IR 異物解析プログラムを組み合わせることで,微小・微量の試料でも,素早く,簡単に,美しいデータの測定と解析ができます。さらにネットワークに接続し,特に製薬業界などでニーズの高い,ラボ全体のデータやユーザーの一元管理が可能です。

タイムコース測定画面

タイムコース測定画面

試料を一定の時間間隔で継続して測定し,スペクトル全体の変化や,特定のピークの大きさの変化を示すタイムコースグラフを表示し,試料の反応追跡,時間変化などを測定するプログラムです。

* こちらはオプションソフトウェアになります。

ゴールデンゲートダイヤモンドATR 装置

ゴールデンゲートダイヤモンドATR 装置

この試料測定部はダイヤモンドとタングステンカーバイトディスクの高温ろう付けにより構成されているために接着剤等の測定に有効です。プリズムが接着剤等で固定されているATR装置ではその接着剤が溶媒によって溶解したり,また硬化後の接着剤を除去する際にプリズムを破損する恐れがあります。

* (株) Specac 社製

システムの特長
●プリズムを傷つけることなく,簡易的なATR測定を行うことができます。
●試料の硬化過程を解析するためのタイムコース測定プログラムにより,スムーズな測定が可能です。
●タイムコース測定プログラムでは,ピーク高さや面積の他に,それらの値を用いた計算値からも 変化を追跡することができます。
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