CNF含有発泡プラスチックの内部形状評価

 

 

多孔質構造をもつ発泡プラスチックは,軽さや断熱性に優れる一方で,未発泡のものより強度が低下します。そこで,軽さや断熱性を保ちつつ強度を落とさないために使われるのが,補強用の繊維を複合する製法です。植物由来の繊維材料であるCNFは,その軽さと高い強度から新たな補強材として注目を集め,実用に向けた研究が進められています。そうした研究の中で,X線CTシステムはプラスチックの内部構造や繊維の分散状態を観察するために役立っています。

 
  • 樹脂,薬品などの軽い素材を高拡大で3次元観察
  • 超高速演算システムで,大容量データも速く作成可能
  • 「おまかせCT」など,CT初心者をサポートする機能が充実

①はCNFを含み,②はCNFを含んでいない発泡プラスチックの断面画像です。密度が高い箇所は白く,密度が低い箇所は黒く表示されています。CNFを含んだ①の断面画像ではCNFを含まない②よりも空隙が独立しており,小さく,数も少ないことが分かります。このことから,プラスチックにCNFを含ませて発泡させることで空隙の大きさや数が制御できる可能性があることが示唆されます。また,白い線状の介在物が観察されており,これはCNFを作成する際に解繊されなかった数十μm以上のセルロース繊維だと考えられます。