LCMS-IT-TOFと解析ソフトによるタンパク質変動成分の解析

LCMS-IT-TOFと解析ソフトによるタンパク質変動成分の解析

遺伝子情報に基づいて生体内で発現するタンパク質は,癌に代表される様々な疾患に応じてその発現が特異的に変動することが知られています。
このようなタンパク質の量的/質的な変化を検出する方法として,様々な手法があります。ナノフローLC
によってペプチド成分の分離し,LCMS-IT-TOF,および統計解析ソフトウェアとの組合せによって変動成分を解析・同定する手法もその一つです。これらの手法についてご紹介します。

モデル実験系試料として,トリプシン消化された酵母抽出タンパク質群(200fmol),酵母抽出タンパク質群(200fmol)+BSA(10fmol)をそれぞれ,ナノフローLCLCMS-IT-TOFシステムで分析します(n=3)。
検出されたペプチドイオンのMSデータはメタボロミクス解析ソフトウェアによる主成分分析(PCA)を行い,主成分軸で分離される変動成分を抽出し,必要に応じてオートMSn機能などを用いて,ターゲットペプチドのMS/MSデータの自動取得,Mascot検索,タンパク質同定を行います。

BSA添加有無の酵母タンパク質群に対する解析結果

BSA添加有無の酵母タンパク質群に対する主成分分析の結果,第一主成分軸(PC1)で明瞭な分離が得られており,これは添加されたBSA由来のペプチドによるものとして検出されました。

このように主成分分析等の多変量解析と組み合わせることで,有意な変動性分のみをソフトウェア的に抽出することが可能です。
このような方法によって,安定同位体による標識を行ったり,全ての成分を網羅的に同定することなく,変動の見られた成分のみを効率的に検出・同定することができます。

液体クロマトグラフ質量分析計 LCMS-IT-TOF

従来の二次元電気泳動は煩雑な手操作を伴い自動化が困難ですが,ナノフロー液体クロマトグラフ Prominence nano液体クロマトグラフ質量分析計 LCMS-IT-TOFを組み合わせたシステムは分離分析の再現性が高く,さらに専用制御ソフトウェア(Nano-Assist)を搭載しており,分析条件の設定や自動化が容易です。専用のナノESIインターフェースは高感度のタンパク質解析を可能にします。電気泳動による分離が困難な,幅広い分子量のタンパク質や高い疎水性/塩基性を有するタンパク質の解析に適しています。

メタボロミクス解析ソフトウェア

メタボロミクス解析ソフトウェア ProfilerTMAM+(プロファイラー エーエム プラス)は質量分析計から得られた膨大なデータを統計手法を用いて解析します。2つ以上のサンプルセットを比較し,統計手法によって重み付けを行い,サンプルセット間の差に最も影響する代謝物を同定することが目的です。群間比較による主成分分析(PCA)やクラスタリング解析が可能で,大量のデータの中から特徴的な変動を示す成分(バイオマーカー候補)を探索する作業に適しています。
代謝物をハイスループットで,できるだけ網羅的に検出・同定する場合は,代謝物構造解析ソフトウェアMetIDSolutionをご参考ください。

Top of This Page