小型MALDIデジタルイオントラップ質量分析計"MALDImini™-1"を用いた 糖ペプチド解析

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はじめに

タンパク質の翻訳後修飾の一つである糖鎖は、グルコースやマンノースなどの単糖が複雑に結合した構造不均一性の高い分子です。その複雑な構造はタンパク質の機能調節に関係していることが知られています。しかし、糖鎖の複雑な構造や、糖鎖がタンパク質のどの部位に結合しているかという情報は、遺伝子に直接コードされているものではなく、タンパク質の生合成過程で働く多くの糖転移酵素の働きにより形作られてゆく情報です。そのため、疾病などによって、同じタンパク質骨格を持っていても異なる糖鎖構造を持っていたり、糖鎖が結合していると予想される箇所に実は糖鎖が結合していなかったりといった現象が見られます。そのため、糖タンパク質上の糖鎖の構造や結合部位を知るためには、対象となる糖タンパク質を直接分析する必要があります。この分析には質量分析計が広く使われていますが、ほとんどが大型で高性能な装置によって実施されています。 本稿では、当社独自技術であるデジタルイオントラップ(DIT)を搭載した、小型 MALDI-DIT質量分析"MALDImini-1"を用いた糖ペプチド分析について報告します。