ライフサイエンス
超低温捕集-還元気化-原子吸光法による血中ヒ素の形態別分析
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はじめに
ヒ素は化学形態によって,その毒性が異なります。無機ヒ素は,メチル化ヒ素(モノメチル,ジメチル,トリメチル)と比較して毒性が強いことで知られています。ヒトが無機ヒ素を摂取した場合,体内において,無機ヒ素はメチル化ヒ素→ジメチル化ヒ素と毒性の低い形態へと変化し代謝されます。これらの代謝物についての分析を行うことでヒトに対するヒ素の曝露状況の評価が可能となります。 ヒ素の形態別分析法の一つに超低温捕集-還元気化-原子吸光法があります。今回,この手法を用いて,人血中ヒ素の形態別分析を行いましたのでご紹介します。血中ヒ素は通常,極めて低濃度であると共に,血液成分由来の干渉も大きいことから,その測定は非常に難しいとされますが,簡単な前処理とこの手法の組み合せにより,容易に測定を行うことができます。
2005.05.29