環境
超低温捕集-還元気化-原子吸光法によるヒ素の形態別分析
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はじめに
ヒ素は自然環境中に広く分布しており高濃度に蓄積する海洋性動植物、そして、無機ヒ素の飲料水汚染から、アジアや南アメリカでは大規模な慢性ヒ素中毒が発生しています。ヒ素は重要な素材として半導体やガラス産業で需要があり、職業性砒素曝露からの健康問題が存在しています。 ヒ素は毒性の強い元素として一般的に認識され、その毒性は化学形態に強く依存し、無機ヒ素(iAs)はメチル化ヒ素化合物(MMA、DMA、TMA)に比較して毒性の強いことが知られています。海洋性動物プランクトンや哺乳動物では無機ヒ素に対するメチル化反応が存在します。 ヒトは無機ヒ素を摂取すると肝臓において、無機ヒ素→メチル化ヒ素→ジメチル化ヒ素と毒性の低いメチル化ヒ素化合物への代謝が行われて、尿中排出する機序が存在しています。 ヒトに対する無機ヒ素曝露からの健康影響に関して、急性・慢性ヒ素中毒、職業性ヒ素曝露などの評価に際して、尿中ヒ素測定は有効とされています。無機ヒ素曝露は尿中ヒ素を化学形態別に測定し、無機ヒ素とその代謝産物の総和で評価することが提案されています。他方、自然環境水や食品についても、含有するヒ素を化学形態別に測定し評価することが必要です。
2005.04.28