低分子医薬品
GC 分析時間の短縮(その1)
はじめに
多成分分離を目的としたキャピラリ分析では,より分離の良い分析条件が求められます。高分離を追及すると必然的に分析時間は長くなっていきますが,より効率良く分析を行なうためには,高分離を維持したまま分析時間を短縮する必要があります。分析時間短縮のためには,高理論段数のカラム(内径0.1mm)を使用する方法や,分析条件(昇温速度・カラム流量)を変更する方法があります。高理論段数の内径0.1mmカラムを使用する場合,液相量が少なく試料負荷量が小さいため高スプリット比での分析が必須となり,内径が細く高抵抗であるためカラム入口圧力を高く設定する必要があります。また高速昇温するためには特殊なオプション部品が必要となる場合もあります。 今回は一般的によく使用される内径0.25mmのカラムを使用し,昇温速度やカラム圧力に極端な値を使用することなく,どこまで時間短縮が図れるかについてご紹介いたします。 今回試料として,ガソリン・灯油・軽油の混合試料を用いました。Fig.1は40℃→250℃ (5℃/min),0kPa(定圧)で分析を行なったクロマトグラムで,分析時間は約50minとなっています。Fig.2-1は最新のGC-2010だけではなく,従来機種のGC-17A,18A,1700でも設定可能な40℃→200℃ (40℃/min)→250℃ (15℃/min),400kPa(定圧)という条件で分析を行なったクロマトグラムで,分析時間は約8minとなり分析時間は1/6となります。Fig.2-2は分離状態を確認するため時間軸のフルスケールをFig.1と同じにした場合のクロマトグラムです。また今回の試料における圧力(カラム流量)と昇温速度による分析時間の短縮の寄与についても検討しました。 40℃→250℃ (5℃/min),400kPa(定圧),Fig.4は40℃→250℃ (15℃/min),80kPa(定圧)のクロマトグラムです。今回用いた試料では,圧力(カラム流量)よりも昇温速度がより分析時間短縮に大きく影響することがわかります。 更に分析時間の短縮を総合的に考えた場合には,分析終了後のカラムオーブン冷却時間も重要となります。昇温分析を多用するキャピラリ専用機のGC-2010,17A,18A,1700では,カラムオーブン冷却時間も充分に考慮された設計となっていますが,それぞれには冷却ユニット(GC2010 : P/N221-47749-91, GC-17AVer.2, 3, 18A, 1700 : P/N221-45398-91 GC-17AVer.1[特注]:P/N221-46358-91)がオプションで用意されています。この冷却ユニットを使用すると更に冷却時間の短縮を図ることができ,より効率良く分析することが可能です。
2006.10.09