UV TALK LETTER vol.5(2010) 積分球

UV-Basic

紫外可視分光光度計を用いて固体試料を測定する場合,付属装置の積分球が頻繁に使われます。
今回はその積分球について解説します。

図1 積分球概要図
図1 積分球概要図

積分球は内面が球形で,内壁が硫酸バリウムなどの反射率の高い光散乱素材で作られています。取り込んだ光(測定光)を散乱させ均一にする効果があります。
積分球には測定光が照射する位置に穴(入口開口)があいており,試料を透過した測定光を取り込む場合は,入口開口の位置に試料を設置して測定を行います。検出器は測定光が直接照射されない位置(主に積分球の上部や下部)の開口部に取り付けられています。

積分球は,主に散乱性のある試料や,レンズなどの光を屈折させる試料を測定する際に使用されます。透過した測定光を集光するようなレンズの透過率を測定する場合,通常の検出器で直接受光する方法では,図2(a)のようにベースライン補正(100%合わせ)の時には検出器の受光面に測定光が当たりますが,試料に照射された後の光は検出器の受光面からはみ出してしまい正しい測定が行えません。また,散乱性のある試料の場合は,試料に照射した後の散乱した光が検出器の受光面まで到達できません。積分球を使用して試料を測定すると,図2(b)のように,ベースライン補正時と試料測定時の双方で全ての測定光が積分球内部で拡散した後に検出器の受光面に照射されるので,正しい測定を行うことができます。

図2 直接受光と積分球測定の比較
図2 直接受光と積分球測定の比較

積分球を使用した透過測定と反射測定について説明します。

1.透過測定

図3のように積分球の入口開口のところに試料のない状態でベースライン補正を行います。反射側に開口がある場合は基準試料(硫酸バリウムをつめた白板など)をセットします。 通常の透過測定では図4のように試料を直進した成分と散乱成分の両方が測定されます。

図3 ベースライン補正
図3 ベースライン補正
図4 透過測定概要図
図4 透過測定概要図

散乱成分のみの透過測定をしたい場合は,図5のように入口開口の反射側を開口にした状態で,試料をセットして測定を行います。

透過測定ではヘイズ(濁度)測定と呼ばれるけん濁試料の測定も可能です。図3のように反射側に基準試料をセットした状態でベースライン補正を行います。次に図6のように反射側に光トラップ(直進成分の光を吸収し検出器に導入しない筒)をセットするか,または開口にした状態で試料を入口開口にセットして測定を行います。この測定値から濁度を求めることができます。より厳密に行う場合は,光トラップまたは開口の状態で測定を行いその値を濁度0として,補正計算を行います。

分光光度計の積分球で測定した結果は,専用のヘイズメータの測定値とは,試料への測定光の照射状態や積分球の開口状態などが異なりますので,若干の差異が生じることがあります。

図5 散乱成分のみの透過測定
図5 散乱成分のみの透過測定
図6 ヘイズ測定概要図
図6 ヘイズ測定概要図

2. 反射測定

図7のように,入口開口から入り,積分球内部を通過した測定光が照射される位置(反射位置)に基準試料(硫酸バリウムをつめた白板など)を置いてベースライン補正した後,基準試料の代わりに測定したい試料を同じ位置において測定を行います。
積分球を使用した反射測定は,基準試料に対する反射率の測定となるため,相対反射測定と呼ばれます。従って,基準試料の反射率の変化(経時変化など)が試料の測定値に影響を及ぼします。また,基準試料を変えると反射率は変わることになりますのでご注意ください。

図7 反射測定概要図
図7 反射測定概要図

反射測定には拡散反射測定と全光線反射測定があります。
拡散反射測定では図8のように試料に垂直(0度)の測定光が照射されます。拡散反射成分は積分球内部に拡散しますが,正反射成分は測定光が入射した穴より積分球の外に出ます。
そのため拡散反射測定では拡散成分のみを含んだものとなります。全光線反射測定では図9のように試料の法線から8度程度傾いた測定光が照射されます。全光線反射測定では拡散反射成分は拡散反射測定と同じように積分球内部に拡散し,また正反射成分も積分球の内壁に当たるので積分球内部に拡散します。そのため全光線反射測定は,正反射成分と拡散反射成分の両方を含んだものとなります。

図8 拡散反射測定
図8 拡散反射測定

積分球を使用した測定では,直接検出器で受光して測定する場合と比較して光量が1/100~1/1000程度になります。そのため直接検出器で受光する場合と同じ条件で測定するとノイズが増加します。ノイズを低減するためには光量を増やす必要があります。スリット幅を変更できる分光光度計ではスリット幅を広くすることにより対応できます。

分光光度計に使用される積分球は内壁の直径が60mmのものが一般的です。直径が150mmの積分球もあります。
150mm径の積分球は60mm径の積分球と比較すると開口率が小さく,拡散性が高いので,試料の散乱状態の影響を受けにくくなりますが,空間が広いため検出器に入射する光量が少なくなりノイズが増加します。開口率とは積分球の内壁の穴を含めた全面積に対する穴の面積のことです。

図9 全光線反射測定
図9 全光線反射測定

3. 最後に

積分球を使用すると,検出器で直接受光する方法では正しく測定できない試料も測定できます。半透明もしくは不透明な溶液,レンズなど光の進行方向を変える試料の測定を行う場合は是非一度使用してみてください。

分析計測事業部 スペクトロビジネスユニット
池田 英柱

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