マルチタイプICP発光分光分析装置
アステラス分析科学研究所様は,アステラス製薬様のグループ会社として,新薬の研究開発から生産までの医薬品開発ステージにおける分析業務全般に携わっておられます。今回はCMC分析研究部 田頭様に,ICP発光分光分析装置ICPE-9000をご使用になられてのご感想やご要望についてお話を伺いました。

| ご使用機器 | マルチタイプICP発光分光分析装置 ICPE-9000 / ICPE用ソフトウェア ICPEsolution |
インタビュー
ICPE-9000はどのような分析にお使いいただいているのですか。
主に医薬品の品質管理,中間製品の残留触媒の分析に利用しています。重金属も含めいろいろな元素を測定します。
触媒というと,先日のノーベル賞にも関わるトピックですね。
受賞された発表を聞いたときは嬉しかったですね。間接的とはいえ,クロスカップリング反応に関わっているということで,今回の受賞には親しみを覚えました。
日本でもいろいろな分野,医薬品・化学領域などにおいて,触媒は重要な役割を果たしているのでしょうね。
さて,ICPE-9000の話をいろいろお聞かせいただきたいのですが,お使いになる頻度はどのくらいですか。
週に1回から2回の頻度で使っています。一度の測定でのサンプル数はそれほど多くありません。委託者が合成された化合物につき,残留金属含量をすぐに知りたいということで,数件ずつ依頼されますので,その日に測定して結果をお返しするようにしています。
実際にICPE-9000をお使いになった感想をお聞かせください。
とても使いやすい装置です。前はシーケンシャルタイプを使っていて,マルチタイプを使うのは今回が初めてなので,単純に比較はできないと思いますが。
今回ICPE-9000を選んだ理由として,指定元素以外の元素についても測定されており,後日,必要に応じて保存したものを呼び出してきて,定性・半定量ができるということにすごく魅力に感じたことが挙げられます。それは,シーケンシャルではできない,また他社さんのマルチでもいくつか検討した中ではできなかったことでした。
今回ICPE-9000を選んだ理由として,指定元素以外の元素についても測定されており,後日,必要に応じて保存したものを呼び出してきて,定性・半定量ができるということにすごく魅力に感じたことが挙げられます。それは,シーケンシャルではできない,また他社さんのマルチでもいくつか検討した中ではできなかったことでした。
依頼測定が終わったあとに,後日,他の元素も見て欲しかった,と言われたような経験はございますか。
多くはありませんが,後になって指定元素以外の元素での含量を見て欲しいということがありました。
島津のサポート体制はいかがですか。それもご選定いただいたポイントの一つだったのでしょうか。
職場は大阪にありますが,大阪-京都は近いので,とても安心です。カスタマーサポートもすぐに対応してくださいますし,サービスエンジニアの方は「会社に行くより近くていい」と言ってくださっていて心強いです。
そういえば,前に,普段は軸方向で主に測定しているのですが,横方向で測定を行ったときに再現性が悪いということがありました。その時にサービスの方がすぐに対応してくださった結果,ある部品がはずれてしまっていたということが分かりました。あまり交換することのない部品だったようなのですが,工場が近くにあるということで部品の供給・取り付けをスムーズに行っていただき,速やかに分析を続けることができました。この時は,製品の出荷スケジュールに合わせて試験を終了させる必要がありましたので,大変助かりました。
そういえば,前に,普段は軸方向で主に測定しているのですが,横方向で測定を行ったときに再現性が悪いということがありました。その時にサービスの方がすぐに対応してくださった結果,ある部品がはずれてしまっていたということが分かりました。あまり交換することのない部品だったようなのですが,工場が近くにあるということで部品の供給・取り付けをスムーズに行っていただき,速やかに分析を続けることができました。この時は,製品の出荷スケジュールに合わせて試験を終了させる必要がありましたので,大変助かりました。
それは解決できて良かったです。
サービスエンジニアの方には頼りきっています。装置に関してや,ICP分析一般についても新しい知識を勉強されているので,それらを教えてもらうことによって「そうだったのか」と思うこともあります。一般的な講習会で学ぼうと思っても,自分の分野にマッチしたものを探すのも大変です。材料系や金属関連の講習会は結構あるのですが医薬品に特化したものが少なくて,なかなか知識が広がりません。その点,エンジニアの方にもいろいろ教えていただいているので助かります。
ICPや原子吸光などの元素分析というのは基礎的な分析手法なので,さまざまな分野でご利用いただいています。ですので,分野別のノウハウに関しては個別にインハウスセミナーなどを開催させていただくほうがいいかもしれません。島津ではアプリケーション開発センター(ADC)が基礎的な操作説明・操作講習会2日間コースを開催していますが,それは装置を使うにあたっての講習会ですし。例えば社内で何か勉強会をしたいということがあれば,遠慮なくお知らせください。内容と時間を調整して実施させていただきます。例えばサンプルによって,こういうような物質を測る場合には何で溶かすのか?から始まりますよね。その溶かした溶媒に対してどんな条件で測ったら一番良いのかとか。
今後は今まで扱ったことのない生体高分子などの分析もあるかもしれないので,そのときはぜひお願いします。
ソフトウェアのICPEsolutionについてお聞かせいただきたいのですが,使い勝手はいかがでしょうか。
使いやすいです。アシスタントバーにあるボタンを順番に押していけば,プラズマが点灯して分析から消灯までできるので便利です。ただ,必要なボタンの数がルーチン分析と試験法検討では違うと思いますので,ボタンをカスタマイズできれば,なおいいのではと思います。その他の部分は満足しています。今後は担当者を増員していく予定があり,OJTもスムーズに行えると期待しています。
まだ使い始めて1年弱なのですが,私どもはDMSOをよく使います。測定に使用するメソッドを最初から作るというのは難しいと思うのですが,サービスサポートの方がメソッドをつくって帰ってくださったのでスムーズに使い始めることができました。
また別の実験で,エタノール系での測定を行ったのですが,その時に条件がうまく決められないことがありました。講習会用のテキストをいただいていたので,そこに載っていたエタノール系の条件を準用してみたのですが,うまくできませんでしたので,サポートに連絡し,状況を説明しましたら,すぐに対応してくださってこのときも助かりました。
まだ使い始めて1年弱なのですが,私どもはDMSOをよく使います。測定に使用するメソッドを最初から作るというのは難しいと思うのですが,サービスサポートの方がメソッドをつくって帰ってくださったのでスムーズに使い始めることができました。
また別の実験で,エタノール系での測定を行ったのですが,その時に条件がうまく決められないことがありました。講習会用のテキストをいただいていたので,そこに載っていたエタノール系の条件を準用してみたのですが,うまくできませんでしたので,サポートに連絡し,状況を説明しましたら,すぐに対応してくださってこのときも助かりました。
日常的にお使いになるメソッドは,作成しておけば呼び出して使えますよね。
ところでお褒めいただいてありがたいのですが,やはり改善すべき点やご要望も当然あるのではないでしょうか。
ひとつリクエストをさせていただくと,有機溶媒系についてもアルゴンガスの節約ができるといいと思います。現在,水系ではミニトーチを使用することにより,アルゴンガス使用量の節約ができるシステムとなっていますが,90%以上はDMSOで使っていますので。
多少難しいところはありますが,検討させていただきます。
また,導入する際に便利な機能だと思っていた,「分析アシスタント」の機能をまだ使用できていないので,今後の試験法開発に役立てていきたいと思っています。
ぜひ,お使いになってみてください。最初に講習会でご説明させていただいてもお使いにならなければ1年経ったらだいたい忘れてしまいますし,それが普通だと思います。次回改めてお使いになるとき,こういうことをやりたいのだけれどもというときにまたご相談ください。
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そういえば,ときどき訪問していただくとか,冊子が送られてくると,「あれを言っておかないと」とか思い出すと思います。島津さんのメールマガジン「島津ほっと通信」がありますが,あれがちょうどいいタイミングできますね。「LCtalk※」も利用しています。「LCtalk※」は読後,保存しておいて,新人さんが入ってきたときにLCを知るための読み物として渡しています。日常分析に関わるトピックや留意点が載っているので役立っています。 「ICP talk」というのはないのですか。OJTでの教育で,100%教えるのは難しいですし,書籍などもLCのように充実しているわけではないので,そういった情報発信が,ICPに関してもあればいいと思います。また,ちょっと欲張りなのですが,公定法などのレギュレーションの情報も発信していただければと思います。 ※「LCtalk」:島津製作所が発行しているHPLC技術情報誌 |
そうですね。おかげさまで国内外含めてICPE-9000の販売台数が500台を突破しまして,ユーザー様もたくさん増えました。私どものICP製品の中ではいちばん売れた機種になりましたので,今後の情報提供の方法についても考えさせていただきます。
メンテナンスについては何かコメントはございますか
日常は,プラズマ室の清掃だけで十分メンテナンスができているようですが,それで問題ないでしょうか。
よくお話するのが一つは始業点検といって,使われる前にパッと見て汚れていないかとか,トーチにひびが入っていないかとか,正常な位置にいるかとか,チューブがペタッとなっていないかとか,いわゆるパッと見たところが正常なのかどうか。それを見ていただいたら基本的には大丈夫です。OJTではどのような状態が正常なのかというイメージを最初につかんでいただくことがいちばん重要で,後はちょっと変だというのが普通にわかってくると思います。
では最後に,島津の製品として,こんなものがあったらいいなというようなご意見は何かございますか。
建物自体の横揺れに強い天秤を開発していただいたら,ぜひ使用したいです。1~6階まで他社さんの天秤が何台ずつかあるのですが,風が強いときに,建物が緩い横揺れを起こして天秤が安定しないのです。5桁で秤量を行っているときなどはかなり厳しいです。天秤ではなくても天秤を置く台とかで,そういう製品があればいいなと思います。
インタビュアコメント
装置導入後の短期間の間に装置機能をうまく引き出して頂いていることをお聞きして,開発時のコンセプトは間違っていなかったと心強くしました。発光分析法の最大のメリットは,多元素・多波長が同時に測定できることなのですが,これを最大限に活用するには長年の知識や経験が必要です。ICPE-9000では分析される方をアシストする機能に拘りました。装置が高機能であることはもちろん重要ですが,その機能をどなたにでもご利用頂ける装置の開発が必要であると改めて感じました。

