─ 高速度ビデオカメラ関連 事例紹介─
マッハ-ツェンダー干渉法による衝撃波の超高速撮影
H. Kleine1), K. Tsuji2), H. Olivier3)
H. Kleine1), K. Tsuji2), H. Olivier3)
- School of Awrospace, Civil and Mechanical Engineering, University of New South Wales / Australian Defence Force Academy, Canberra, Australia
- Shimadzu Europa GmbH, Duisburg, Germany
- Shockwave Laboratory, RWTH, Aachen, Germany
透明な媒体の密度変化の過程は、密度依存可視化法(Merzkirch 1987)と言われる方法によって観察できる。それは、既知の特性を持つ光線をその媒体の中に通して、その時におこる変化を記録するというものである。シャドウグラフ法では光線の変位、シュリーレン法では屈折率の変化を観察するのに対して、干渉計を用いた方法では光路長の変化を観察する。1891,92年にL. ZehnderおよびL. Mach(Zehnder:1891年、Mach:1892年)によって考案されたマッハ・ツェンダー干渉計(The Mach-Zehnder interferometer: MZI)は世界初の二光束式干渉計であり、当時は流体力学の研究に広く活用された。この装置は、白色光の干渉を測定することを目的にしているため非常に精密に設計されており、使用の際にも高度の調整が必要である。その複雑さが災いして、その後この装置はそれほど普及しなかった。さらに、1960年代、レーザーとホログラフィが出現し、MZIほど精緻な装置と微妙な調整を必要としないホログラフィ干渉法が考案されたため、MZIによる流れの可視化の重要性は弱まった。しかし、MZIにはこの装置でしか実現できないいくつかの重要な長所がある。この長所の一つが、RWTHアーヘン大学の衝撃波研究室で最近行われた一連のテストによって鮮明に実証されている。
ホログラフィ干渉法の大きな欠点は、時分割モードで使用することが容易ではないということである。これに対して、MZIでは、適切な光源と島津製作所のHPV-1という超高速カメラを使えばそれほど困難なことではない。以下に述べる実験においては、514 nmラインで約1.4 W出力のアルゴン・イオンレーザーを使用したが、十分な出力を持つ水銀灯またはクセノンアークランプでも同様の結果を得ることができる。今回の実験では、このアルゴン・イオンレーザーの強度は、撮影スピード100万コマ/秒(fps)、各フレームの露光時間が250 ns,ゲイン1と言う超高速条件で連続画像を得るのに十分であった。著者らが知る限り、流体力学研究において初めて、圧縮性流れをMHzという超高速で、MZI画像の100コマ連続取得に成功した。現在文献調査を行っているが、MZIによる可視化実験としては、最大120 kHzの撮影速度で8コマだけのもの(Bretthauer他 1991)しか見つかっていない。
著者らが衝撃波研究室で行った実験では、衝撃波管(内径20 mm)の開放端から放出される衝撃波の動的挙動を観測した(図1参照)。衝撃波(衝撃波管内の初期衝撃速度は約465 m/s、マッハ数約1.35)は管を離れると即座に半球形状になり、音速よりも少し速い速度(約370 m/s)で膨張を続ける。放出された衝撃波が衝撃波管の隅を回折すると、はっきりとした渦輪が発生し、約210 m/sの速度で衝撃波の後を追う。この渦輪の後には、衝撃波によって生じるジェット流が続く。この一連の実験では、出口部の形状の違いおよび衝撃波のマッハ数の違いの影響を調べた。
ホログラフィ干渉法の大きな欠点は、時分割モードで使用することが容易ではないということである。これに対して、MZIでは、適切な光源と島津製作所のHPV-1という超高速カメラを使えばそれほど困難なことではない。以下に述べる実験においては、514 nmラインで約1.4 W出力のアルゴン・イオンレーザーを使用したが、十分な出力を持つ水銀灯またはクセノンアークランプでも同様の結果を得ることができる。今回の実験では、このアルゴン・イオンレーザーの強度は、撮影スピード100万コマ/秒(fps)、各フレームの露光時間が250 ns,ゲイン1と言う超高速条件で連続画像を得るのに十分であった。著者らが知る限り、流体力学研究において初めて、圧縮性流れをMHzという超高速で、MZI画像の100コマ連続取得に成功した。現在文献調査を行っているが、MZIによる可視化実験としては、最大120 kHzの撮影速度で8コマだけのもの(Bretthauer他 1991)しか見つかっていない。
著者らが衝撃波研究室で行った実験では、衝撃波管(内径20 mm)の開放端から放出される衝撃波の動的挙動を観測した(図1参照)。衝撃波(衝撃波管内の初期衝撃速度は約465 m/s、マッハ数約1.35)は管を離れると即座に半球形状になり、音速よりも少し速い速度(約370 m/s)で膨張を続ける。放出された衝撃波が衝撃波管の隅を回折すると、はっきりとした渦輪が発生し、約210 m/sの速度で衝撃波の後を追う。この渦輪の後には、衝撃波によって生じるジェット流が続く。この一連の実験では、出口部の形状の違いおよび衝撃波のマッハ数の違いの影響を調べた。
図1: 25万コマ/秒で撮影したMZIの連続画像4フレーム(フレーム間隔80 μs)
上に述べたような衝撃波の挙動は、それに伴って流体の密度の変化を起こすので、密度を測定することによって可視化できる。MZIのような二光束方式の干渉像においては、密度変化は、無限縞条件下で、明暗の縞として現われる。この時(2次元平面および軸対称の流れの場合も同様)、それぞれの縞は等密度線を示す。二つの縞の間の密度差は、使用した光および透明媒体の特性、ならびに試験部の形状に依存する。したがって、記録された連続画像から複雑な圧縮性流れの密度分布の履歴および時間的変化を定量的に求めることが可能である。これは、他の方法では、少なくともこれほど明瞭に、しかも空間的および時間的に高い分解能では、達成することができなかったことである。
巨視的な流れの伝播速度は小さいので100万コマ/秒よりも遅い撮影速度で十分観測できるが、この実験で得られた連続画像からは、さらに、渦輪内の密度変化が実際には1MHzに近い周波数を持っていることがわかった。このような特性を正しく観察し定量的に評価するためには、島津製作所HPV-1のような性能を持つカメラが必要である(図2参照)。MZIとHPV-1という組合せによってこれまでは得られなかったような結果を観察することができたわけである。衝撃波の収束や障害物の周囲における回折といったその他の圧縮性流体の特性の研究を行う際にも、この組み合わせは有力な手段となるであろう。
図2: 渦構造の詳細、50万コマ/秒で撮影したMZI連続画像5フレーム
参考文献:
Mach L (1892) Uber einen Interferenzrefraktor. Z. Instrumentenkunde 12:89-93.
Merzkirch W (1987) Flow Visualization, 2nd. ed. Academic Press, Orlando.
Bretthauer B, Meier GEA, Stasicki B (1991) An electronic Cranz-Schardin camera. Rev. Sci. Instrum. 62(2):364-367.
Zehnder L (1891) Ein neuer Interferenzrefraktor. Z. Instrumentenkunde 11:275-285.
Mach L (1892) Uber einen Interferenzrefraktor. Z. Instrumentenkunde 12:89-93.
Merzkirch W (1987) Flow Visualization, 2nd. ed. Academic Press, Orlando.
Bretthauer B, Meier GEA, Stasicki B (1991) An electronic Cranz-Schardin camera. Rev. Sci. Instrum. 62(2):364-367.
Zehnder L (1891) Ein neuer Interferenzrefraktor. Z. Instrumentenkunde 11:275-285.