続・HPLCで用いる基本用語のはなし

分析基礎

LCtalk89号INTRO


 前号では,たくさんの方々から「続編」のご要望をいただきました。それなら・・・ということで,今回もHPLCで用いる基本用語についてのおはなしです。本内容は,2013 年3 月に改正された「JIS K0214:2013 分析化学用語(クロマトグラフィー部門)」に基づいています。

●サイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography,SEC),ゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography,GPC), ゲルろ過クロマトグラフィー(gel filtration chromatography,GFC)

 「サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)」は,「固定相として非吸着性多孔質固体を用い,試料成分の分子の大きさによって分離を行うクロマトグラフィー」1) と定義されています。

図1 SEC のイメージ

図1 SEC のイメージ

SEC は,HPLC における重要な分離モードのひとつですが,化学工業分野では「ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)」,生化学分野では「ゲルろ過クロマトグラフィー(GFC)」という用語も古くから用いられています。JISにおいては,これら用語はSEC に含まれ,GPC は移動相に有機溶媒を用いる場合,GFC は移動相に水溶液を用いる場合と定義されています。分離モードの名称としては,SEC を用いるのが一般的です。

●紫外可視吸光光度検出器(ultraviolet-visible absorption detector)

いわゆる,UV 検出器あるいはUV-Vis 検出器の正式な名称です。「紫外可視」を省いた「吸光光度検出器」も,別称としてJIS に収載されています。

●対(たい)イオン(counter ion),対(つい)イオン(counter ion)

「対(たい)イオン」は,イオン交換分離に用いる言葉で, 「イオン交換基についているイオン。イオン交換分離において,目的のイオンと同じ符号の電荷をもつイオン」1)です。一方,「対(つい)イオン」は,「対象とするイオン性の物質と逆の電荷をもち,イオン対を形成するイオン性の物質」1)と定義されています。読み方の違いですが,イオン対(つい)クロマトグラフィーで用いるのは,対(つい)イオンですね。

●マトリックス(matrix)

「分析種以外の試料の構成物」1)です。前処理に関連してよく使う言葉です。

図2 マトリックスのイメージ

●リーディング(leading),テーリング(tailing)

「テーリング」というのは,図3 のように「ピーク後部がすそを引いている現象」1)です。 「リーディング」は,この逆の現象です。リーディングとテーリングは,クロマトグラムを見ればある程度わかりますが,客観的に数値で表すにはどうすればよいでしょうか?これには,「シンメトリー係数(symmetry factor,S )」(図3)を用います。

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図3 シンメトリー係数(S )
S >1 : テーリングピーク,S =1 : ガウス分布ピーク(左右対称),S<1 リーディングピークということになります。

理論段相当高さ(height equivalent to a theoretical plate,H ),換算理論段相当高さ(reduced height equivalent to a theoretical plate,h )

「理論段相当高さ」は,HETP と略され,「カラム効率を理論段1 段に相当する長さで表すもの」1) で, H = L /N
(L:カラム長さ,N:理論段数)となります。「換算理論段相当高さ」は,H を充填剤粒子径で割ったものです。大文字か小文字で意味が変わってきますので,注意しましょう。(Mk)

[引用文献]
 1) JIS K0214:2013 分析化学用語(クロマトグラフィー部門)

⇒(関連情報)LC talk Vo.88 入門「HPLCで用いる基本用語のはなし」

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