試料溶媒がピーク形状に与える影響

分析の留意点

LCtalk39号入門

 逆相の分析で、こんな経験はありませんか?
・標準溶液(メタノール溶媒)と検体試料溶液(水抽出液)を同容量注入しているのに,何故か標準溶液注入時の成分ピークの方が太い。 ・メタノール溶媒での注入時,注入量を倍にすると,極端に分離が悪くなった。 今回はこれらの原因に関する話です。

 試料溶媒を変えるとカフェインの理論段数(N)がどう変化するかを図1に示します。試料溶媒として移動相と同じメタノール/水=3/7を用いた場合,100μL以上の注入で明らかなNの低下(ピークが太くなる)が認められます。

 次にメタノール100%を用いた場合にはわずか10μL以上でNの低下が認められ,それ以上ではリーディングします(図2)。そして100μLでは非保持に近い時間からだらだらと溶出が始まり,結果としてN<100に落ち込んでいます。さて,試料溶媒はカラム中では移動相の一部分と見なせますから,この場合,試料溶媒が溶出力の強い移動相となって成分を速く移動させたと考えられます。

 一方、水100%を用いた場合には,1mLの大容量注入をしても理論段数の低下は認められず,反対にやや向上する傾向にありました。また保持時間が1mL分遅れました。これは試料溶媒が溶出力の弱い移動相として働いたためにカフェインが カラム入口部で一旦濃縮 し,移動相で改めて分離展開が始まった,つまり点注入されたような形になったと考えられます。

 このように試料注入容量が比較的大きいとき,試料溶媒の種類がピーク形状や保持時間に大きく影響を及ぼします。分析メソッド開発時には注意が必要ですね。(Y.Eg)

図1

図2

図3
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