インテリジェントな波形処理アルゴリズムで解析業務を効率化

インテリジェントな波形処理アルゴリズムで解析業務を効率化

Q u e s t i o n : LC,GC,LC/MSクロマトグラムで,手動波形処理でしか上手くいかない分析データが多数あるのですが,自動化出来るでしょうか?
A n s w e r : i-PeakFinderをお使いください

LabSolutionsの波形処理アルゴリズムであるi-PeakFinder*は,全自動積分機能により特別なパラメータ設定をすることなく高精度にピーク検出を行うことが出来ます。また,複雑なクロマトグラムのパターンに応じた適用範囲の広いパラメータが用意されており,大量のデータに対して一括適用しても,精度の高い波形処理結果を出力することが可能です。

※ LabSolutions Ver. 5.90(ファイル管理版: LC/GC)Ver. 6.80(データベース管理版: DB)以降で使用可能です。

基本はピーク検出感度と検出範囲を指定するだけの簡単設定

i-PeakFinderの基本設定はピークの検出感度と検出範囲を指定するだけです。ピーク検出感度は独自のアルゴリズムから算出されたノイズを元に,S/Nを求め,しきい値未満のピークを除去します。検出範囲はピークを検出する時間を指定します。たったこれだけで通常は設定が完了ですが,複雑なクロマトグラムを思い通りに処理したい場合のために,これら以外にもパラメータを設定することが可能です。ここでは、以下のような事例をご紹介します。

 

1. 手動波形処理に頼らずにショルダーピークを認識させたい

他社ワークステーションや従来法では,ショルダーピークを検出させるにはタイムプログラムや手動波形処理を使用する必要がある場合がありました。一方,i-PeakFinderは簡単にショルダーピークを検出することが可能です。図1はタイムプログラムや手動波形処理を使わない場合の,他社ワークステーションとi-PeakFinderの波形処理比較です。また,ショルダーピークを検出させたくないときは設定からショルダーピークの検出をOFFにすることや,主成分の高さとショルダーピークの高さの比をしきい値として,主成分ピークに統合させることも可能です(図2)。

 

2. 微小なショルダーピークも確実に検出したい

非常に微小なショルダーピークになると,主成分ピークとの判別が困難になるため従来法では手動波形処理に頼らざるを得ませんでした。i-PeakFinderはショルダーピークを高精度に検出可能なアルゴリズムを搭載しており,さらに通常のピークに対する検出感度とは別に,ショルダーピークの検出感度を設定することが可能です。そのため,不要なピークを検出すること無く極微小なショルダーピークを検出することが可能です。図3は通常のショルダーピークと,極微小なショルダーピークの検出例を示しています。

3. ピークの裾野に現れる微小ピークのベースライン処理を簡単に設定したい

主成分ピークの裾野に現れるピークについて,思い通りのベースライン処理ができずに困ったことはありませんか?どのようなベースライン処理をするのかはユーザーによっても当然ながら,分析対象サンプルによっても異なる場合がありますので,希望するベースライン処理が手早く簡単にできることは作業の効率化の上でも重要です。従来法では,場合によってはタイムプログラムや手動波形処理を駆使する必要がありましたが,i-PeakFinderは簡単な設定でベースライン処理の内容を選択することが可能です。図4はi-PeakFinderの基本設定画面を示していますが,このように選択項目から希望するベースライン処理法を選択するだけで波形処理が可能です。

波形処理によっては定量値が異なることも

図5のように波形処理によってベースラインが異なると,定量結果にも影響が出る場合があります。表1には図5のクロマトグラムにおける面積百分率法による定量結果を示しています。このように,ベースラインの処理内容によっては定量結果へも影響があるため,適切な波形処理を簡単に行えることは分析データの質を高めることにもなります。

表1: 各ベースライン処理における定量結果

  処理なし 垂直分離 完全分離
Main peak 99.681 99.448 99.680
Impurity 0.160 0.338 0.160

 

4. ノイズに埋もれたピークを同定したい

極微小ピークの場合,ノイズとピークの判定が難しくなるためピーク同定が困難な場合もあります。i-PeakFinderはピークとそれ以外の外乱(ノイズ、うねり、ドリフト)を判別する能力に優れ,例えノイズに埋もれてしまったピークであっても認識することが可能です。もちろん,ノイズに埋もれてしまうようなピークでは定量限界はもちろんのこと,定性限界も下回ることが多々ありますが,目的成分を確実に認識出来ることは重要です。

図6のクロマトグラムはノイズにほぼピークが埋もれてしまっていますが,i-PeakFinderではピークとして認識出来ていることを示しています。この際,タイムプログラムや手動波形処理は使用していません。

5. ピーク上のノイズのためにピークが分割されるので、1つのピークとして認識させたい

LCMSで得られたデータなど,ピークの中にノイズが含まれており,かつそのノイズの周波数がピークの周波数と近くなると,本来は単一ピークで波形処理すべきところを複数のピークとして処理してしまう場合があります。i-PeakFinderは,ピークの最小半値幅を設定することで,それ以下のピークを検出せず,正しく単一ピークとして波形処理することが可能です。図7のクロマトグラムは最小ピーク半値幅の設定例を示しています。最小ピーク半値幅の数値を大きくしていくほどそれ以下の値のピークは検出されなくなるため,単一成分のピークとして波形処理されています。

6. ベースラインドリフトが大きなクロマトグラムでもピークを正しく認識させたい

分析中にベースラインが大きくうねってしまうことは多くの方が経験されていると思います。例えば図8の例では大きくベースラインが変動し,その中にピークが多数確認出来ます。他社ワークステーションや従来法では,これを時間指定の波形処理(タイムプログラム)や手動波形処理を使わずに正しくピークを認識させることは困難です。一方,i-PeakFinderではタイムプログラムや手動波形処理に頼らず,ベースラインのドリフトに追従して正しく波形処理が可能です。