閉鎖性水域の水質環境基準を確保するために、環境に排出される汚濁物質の総量を一定量以下に削減する制度です。現在、対象となる閉鎖性水域として、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海の3水域が指定されており、この3水域およびこれらに流入する河川等へ排水している事業所(工場や下水処理場など)が規制対象になります。

[水質総量規制に係る指定水域および指定地域]

 

(1)東京湾
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(2)伊勢湾
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(3)瀬戸内海
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第5次総量規制においては、従来のCOD(化学的酸素要求量)を指標とする有機汚濁物質に加え、新たに窒素・りんを汚濁物質として指定されました。
(平成13年12月1月に施行された水質汚濁防止法施行令の一部改正による)

第5次水質総量規制について
平成12年2月、中央環境審議会は、「第5次水質総量規制の在り方について」答申を行いました。その中で、従来のCODに加え、新たに窒素・りんを総量規制の対象項目とすることが適当とされました。

※窒素・りん総量規制が計画された背景
閉鎖性水域の有機汚濁は、流入する有機汚濁(総量規制対象のCOD)と窒素・りんに起因する内部生産に由来する有機汚濁から形成されており、このうち内部生産に由来するものが全体の約4割に達しています。
このような理由から、閉鎖性水域の水質環境基準確保のため、窒素・りんの総量規制が計画されました。

引き続き、平成12年10月、中央環境審議会は「水質に関わる化学的酸素要求量の総量規制基準の設定方法の改定並びに窒素及びりんの総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法の設定について」答申を行い、窒素・りんの測定頻度などもCODと同様とするのが適当とされました。

これら、中央環境審議会の答申を受け、関連法令の整備が進められました。

  1. 平成13年12月1日に施行された、水質汚濁防止法施行令の一部改正で、水質総量規制の対象項目に窒素とりんが追加されました。
  2. 平成13年11月28日に改正された、水質汚濁防止法施行規則の測定に関する条項に窒素とりんが追加されました。
  3. 平成13年12月11日に策定された、総量削減基本方針において
    1. 平成16年度を目標年度とすること
    2. 平成14年春を目途に各都府県が、総量削減計画の検討・策定ならびに総量規制基準の設定を行うことが決定されました。
  4. 平成13年12月13日に出された環境省告示(第74号~第78号)には、窒素・りん(およびCOD)の業種別基準値や、窒素とりん(および排出水流量)の計測方法が記載され、排出水流量400m3/日以上の事業所は、事実上、全窒素・全りん自動計測器の設置が義務付けられることになりました。