精度維持に必要な分銅の選び方

お客様からの“自分のところではどういう分銅を持てばよいのか”という質問をよく耳にします。今回は「天びんの精度を維持するために必要な分銅の選び方」についてです。

●分銅の用途

分銅の使用目的はおおまかに次の3つに分けられます。

  1. 特定計量器(取引・証明用はかり)の定期検査用
  2. ISO-9000/GMP/GLPの体制構築のため
  3. 生産、品質管理、研究、開発等での自主的管理に使用するため

最近分銅購入の声がかかるのはそのほとんどが「2」の場合です。「3」についてもその先をたどると「2」に関係していることが多いです。「1」の分銅は基準分銅で、定期検査が行える計量士等のみが持てる分銅です。
ISO-9000/GMP/GLPでは、使用する天びんがあらかじめ用途、目的によって定めた誤差の許容範囲にあるかどうか点検しなければならず、その点検を分銅を用いて実施します。分銅に必要な条件は、まず第一に「国家標準とのトレーサビリティがとれていること」です。JCSS分銅は、計量法の定めに従って国家標準とのトレーサビリティがとれていることを認定した、お墨付き分銅です。

●ISO-9000/GMP/GLPの体制構築のための分銅の選び方

分銅を選ぶときの原則をまとめると次のようになります。

  1. 日常点検*1では分銅の重さは普段測定している試料の重さに近いものを用い、精度は誤差の許容範囲の3分の1のものを選びます。
  2. 定期点検*2では分銅の重さは天びんの最大ひょう量近いものを用い、精度は1に同様、誤差の許容範囲の3分の1のものを選びます。

日常点検でも、秤、天びんの信頼性に影響を与えるひょう量付近の点検もお勧めしています。
それでは具体的に実際の数値で説明します。

使用する天びん BX3200H(ひょう量3200g、最小表示10mg)
普段測定している試料の平均的重さ 約1000g
誤差の許容範囲 ±100mg

とすると、
日常点検では・・・ 1Kg 精度±30mg以下
定期点検では・・・ 3Kg 精度±30mg以下
を用いればよいことになります。

  • ※1 日常点検:使用前点検と呼ばれ1日に1~2回、使用する前に行う点検です。
           最近では、繰り返し性の確認もお勧めしています。       
  • ※2 定期点検:一定の時期または使用期間を定めて定期的に行う点検です。
           厳密にチェックするにはくり返し性、直線性(リニアリティ)も必要。